自転車うんちく系

Surly Midnight Special:舗装路と未舗装路の境界を溶かす、最高の旅の相棒

hrysbasics
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。

僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。前回はPacerという名作について語り尽くしましたが、今回はそのPacerの魂を受け継ぎ、現代の技術で生まれ変わったかのようなフレーム、**Surly Midnight Special(サーリー ミッドナイト・スペシャル)**について、深く掘り下げていきたいと思います。

Pacerが「純粋なロードバイク」としての機能を突き詰めたフレームだとしたら、Midnight Specialは「速さとタフさ、そして自由な発想」を融合させた、まさに現代の冒険家のために作られた一台です。

なぜこのフレームが、アスファルトのロングライドから、荒れた裏道やグラベルまで、シームレスに旅を繋いでくれる最高の相棒たりうるのか。その秘密を、メーカーの思いやフレームの細部にまで触れながら、僕なりに解説していきます。


スポンサーリンク

Midnight Specialに宿るメーカーの思い

Midnight Specialが2018年頃に登場したとき、自転車業界はグラベルロードブームの真っ只中にいました。多くのブランドが太いタイヤを履かせたドロップハンドルバイクを競ってリリースする中、Surlyは「Surlyらしさ」を失わずに、この新しい波に乗るための答えとして、このフレームを生み出しました。

ヒストリーとコンセプト

Midnight Specialは、Surlyの哲学である**「タフで、シンプルで、実用的」**を、より現代的なロードバイクの形に落とし込んだものです。

メーカーがこのフレームに込めたコンセプトは、**「舗装路で速く、荒れた道でも快適に」**走れること。そして、ライドの行き先を限定しないこと。

タイヤ幅が32mmを超えると、それはもはや「ロードバイク」ではないと考える人もいます。しかし、Surlyはそんな概念を打ち破り、ロードバイクらしい軽快な走りを維持しつつ、最大で650b x 50mmという極太のタイヤを履けるクリアランスを確保しました。

これは、「自転車に乗る喜びは、速さだけじゃない。道を選ばず、どこへでも行ける自由さも大切だ」という、Surlyからのメッセージだと僕は解釈しています。

Midnight Specialが持つ魅力

  • クロモリの乗り心地:Surlyが長年培ってきた、しなやかで路面からの振動を吸収するクロモリフレームの技術。これが、長距離ライドでのライダーの疲労を和らげます。
  • ロードプラス規格への対応:650bホイールに太いタイヤを履かせる「ロードプラス」規格に最適化されている点が最大の魅力です。これにより、クッション性を高めつつ、700cの時とほぼ同じ外径を維持できるため、ジオメトリに大きな影響を与えることなく、乗り味を大きく変えることができます。
  • 現代的な規格の採用:ディスクブレーキやスルーアクスルといった現代の主流規格を採用することで、制動力と剛性を確保し、安心して冒険に出かけられる信頼性を備えています。

Midnight Specialの乗り味を形作るジオメトリとスペック

次に、Midnight Specialの「乗り心地」や「使い勝手」を決定づけている、具体的なジオメトリとスペックを見ていきましょう。

Midnight Specialのジオメトリ表

サイズReachStackHead Tube AngleSeat Tube AngleBB DropChainstay Length
40cm36353171.0°75.5°70425
46cm36653871.5°74.0°70425
50cm37954472.0°73.5°65425
54cm38956072.5°73.0°65425
56cm39358073.0°73.0°65425
58cm40259973.0°73.0°65425
60cm40962073.5°72.5°65425

ジオメトリから読み解くMidnight Specialのキャラクター

  • チェーンステーの長さ(425mm): Pacer同様、Midnight Specialも全サイズでチェーンステー長が425mmに統一されています。これは、どんなサイズのフレームでも変わらない、Surlyらしい**「安定感のある乗り味」**を実現するためのこだわりです。直進安定性が高く、荷物を積んで走る際も、フラフラせずに安心して走れます。
  • BBドロップ(サイズによって変動): BBドロップはサイズによって70mmから65mmまで細かく調整されています。これは、サイズの大きいフレームではBBドロップを浅くすることで、ペダリング時のクリアランスを確保し、小柄なライダー向けにはBBドロップを深くして重心を下げ、安定感を高めるための設計です。この緻密な設計が、ロードバイクらしい軽快なコーナリング性能を保ちつつ、高い安定性を獲得させています。
  • ヘッドチューブアングル(サイズによって変動): サイズが小さくなるにつれてヘッドアングルが寝かせ気味になっています。これは、特に小柄なライダーでもトーオーバー(前輪とつま先が接触すること)を防ぎ、安全なハンドリングを確保するための工夫です。

フレームのスペックに言及する

  • フレーム素材:Surly CroMoly Surlyのアイデンティティとも言えるクロモリ素材。タフで耐久性が高いのはもちろん、しなやかで路面からの振動を吸収してくれるため、長時間のライドでも疲れにくい乗り心地を提供します。
  • エンド幅:フロント12mmスルーアクスル(100mm)、リア12mmスルーアクスル(142mm) 現代のロードバイクやグラベルバイクの主流であるスルーアクスル規格を採用しています。これによりホイールの着脱が容易になり、ディスクブレーキの性能を最大限に引き出すことができます。
  • BB規格:68mm幅のJIS(BSA)ねじ切り この規格は汎用性が高く、メンテナンスが非常に容易です。異音トラブルも少なく、自分でBB交換を試すこともできるので、DIY派のライダーには嬉しいポイントです。
  • タイヤクリアランス:700c x 42mm / 650b x 50mm このフレームの最大の魅力です。ロードタイヤから、ちょっとしたグラベルタイヤまで、自由に選択できます。700c x 42mmの太いスリックタイヤを履かせれば、ロードバイクでは味わえない、フワフワとした快適なオンロードライドを楽しめます。一方、650b x 50mmのブロックタイヤを履かせれば、ちょっとしたグラベルライドにも対応できる、万能なグラベルバイクに変わります。

ヒロヤス的おすすめビルド:Midnight Specialを最高の相棒にする

もし僕が今、Midnight Specialをゼロからビルドするなら、このフレームの持つ「二つの顔」を最大限に引き出すコンセプトでパーツを選びます。

「ロードバイクとしての軽快さと、グラベルバイクとしてのタフさを両立させる」

コンポーネント

  • SRAM Force 1x フロントシングルにすることで、変速操作をシンプルにし、チェーン落ちのリスクも減らせます。軽量かつ高剛性なSRAM Forceは、Midnight Specialの持つ「速さ」を最大限に引き出してくれます。

ホイール

Midnight Specialは、ホイールを換えるだけでキャラクターがガラリと変わるのが魅力です。

  • 舗装路メインのビルドHunt 4 Season Disc Wheelset 軽量で耐久性も高く、舗装路での軽快な走りをサポートしてくれます。
  • 冒険ライドのビルド650bホイール(Paul Components Hub & H+SON The Hydra Rim) ハブはPaulの美しい削り出しハブ、リムはチューブレスに対応したH+SONのHydraを組み合わせます。タフで、ワイドタイヤを履かせるのに最適な組み合わせです。

クランク

  • White Industries G30 クランク 美しい削り出しのクランクは、もはやアートピースです。現代的なスルーアクスル対応のBBと組み合わせることで、剛性とルックスを両立できます。

その他

  • ハンドルSim Works by NITTO 日本の老舗ブランド、日東とSim Worksのコラボハンドル。フレア形状のドロップハンドルにすることで、悪路での安定した操作性を確保できます。
  • タイヤWTB Byway(47mm) センターがスリックで、サイドにブロックパターンがあるこのタイヤは、舗装路の軽快な走りと、グラベルでのグリップ力を両立させてくれます。

まとめ:Midnight Specialは、無限の可能性を秘めた旅の相棒

Midnight Specialは、ただのクロモリロードバイクではありません。舗装路の軽快さと、未舗装路のタフさを、たった一つのフレームで実現する、まさに**「クロスオーバーな存在」**です。

このフレームは、ライダーに「どこを走るか」という選択肢を与え、ライドの可能性を無限に広げてくれます。速さや軽さを追い求めるだけではなく、ただひたすらに、自転車を走らせる喜びを求めている人。

そんなあなたの旅の相棒として、これほど頼もしいフレームは、そう多くはないでしょう。

それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!

【取扱店舗情報】 Surly(サーリー)の自転車に出会える日本のショップ

Surlyの自転車は、独自のスタイルと哲学を持つショップで取り扱われていることが多いです。ここでは、日本全国の代表的なSurly取扱店をいくつかご紹介します。

関東
中部
関西
中国
四国
九州
北海道
沖縄
  • 店舗名: Blue Lug (ブルーラグ)
  • 地域: 東京都
  • 自転車を愛する人々が集まる、東京を代表するカスタムバイクショップ。Surlyをはじめとする個性的なブランドを多数扱い、独自のセンスで組み上げられた自転車は多くのファンを魅了しています。パーツの品揃えも豊富で、気軽に相談できる雰囲気も魅力です。
  • 公式ホームページ: https://bluelug.com/
  • 店舗名: Circles (サークルズ)
  • 地域: 愛知県
  • 名古屋を拠点に、自転車文化の発信地として知られるショップ。Surlyの魅力を深く理解し、ライフスタイルに合わせた提案をしてくれます。併設されたカフェ「Earlybirds Breakfast」も人気で、自転車好きのコミュニティスペースとしても機能しています。
  • 公式ホームページ: https://www.circles-jp.com/
  • 店舗名: Movement (ムーブメント)
  • 地域: 大阪府
  • 大阪市内に店舗を構える、カスタムバイクのプロショップ。Surlyの魅力を深く理解しており、ユーザーのスタイルや用途に合わせたオリジナルの1台を丁寧に組み上げてくれます。街乗りから本格的なツーリングまで、Surlyの多様な楽しみ方を提案してくれるでしょう。
  • 公式ホームページ: https://movement-cycle.com/
  • 店舗名: grumpy (グランピー)
  • 地域: 広島県
  • 広島県で長年Surlyを取り扱っている老舗ショップ。独自のイベントやライド企画も盛んで、Surlyを通じて広がる自転車の楽しみ方を提案しています。バイクパッキングやグラベルライドなど、Surlyの魅力を最大限に引き出すカスタムを得意としています。
  • 公式ホームページ: https://ride.grumpy.jp/
  • 店舗名: サイクルハウス ウエスタン
  • 地域: 愛媛県
  • 愛媛県にあるスポーツバイクショップ。Surlyの魅力を深く理解しており、グラベルロードやツーリングバイクなど、幅広いモデルの提案を得意としています。カスタムの相談にも親身に乗ってくれるので、安心して任せられます。
  • 公式ホームページ: https://www.ch-western.com/
  • 店舗名: 正屋 (MASAYA)
  • 地域: 福岡県
  • 福岡市にあるスポーツバイク専門店で、Surlyの取り扱いも豊富。ロードバイクやマウンテンバイクはもちろん、ツーリングや通勤に使えるSurlyの楽しみ方を提案してくれます。親しみやすい雰囲気も特徴です。
  • 公式ホームページ: https://www.masaya.com/
  • 店舗名: chillnowa (チルノワ)
  • 地域: 北海道
  • 函館市を拠点とする自転車ショップ。雪国ならではのファットバイク文化を牽引しつつ、様々なSurlyのバイクを扱っています。個性的なカスタムを得意とし、Surlyを遊び倒すスタイルを提案してくれるでしょう。
  • 公式ホームページ: http://www.chillnowa.com/
  • 店舗名: TairaCycle (タイラサイクル)
  • 地域: 沖縄県
  • 沖縄県北谷町にある自転車ショップ。Surlyの正規取扱店として、レースから街乗りまで幅広いニーズに対応しています。沖縄の美しい景色をSurlyで楽しむための提案をしてくれるでしょう。
  • 公式ホームページ: https://www.tairacycle.com/

記事を読んでSurlyの自転車が気になったら、是非近くのお店に足を運んで実物を見たり、試乗車があれば体験させてもらうのもいいですね!
※上記は代表的な店舗の一部です。最新の取扱状況や在庫については、各店舗のホームページやSNSをご確認いただくか、直接お問い合わせください。

こんな記事も読まれています

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

OSBN?
Hrys Basics(ひろやす)
Hrys Basics(ひろやす)
Designer & Cr-Mo Freeks
中の人はCrust evasion乗り。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れる30第半ばのクリエイター。 海外の自転車ニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログを解説しました。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
記事URLをコピーしました