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クロモリ自転車が持つ「強さ」「ロマン」「ヤレ感」の真実を紐解く

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪でデザイナーとして働きながら、日々の通勤や休日のライドを楽しんでいます。僕が愛してやまないのは、クロモリフレームの自転車。その乗り心地や佇まいに魅了され、すっかりその虜になってしまいました。街で魅力的な自転車を見かけると、ついつい立ち止まってしまいます。このブログでは、そんな僕の自転車愛を、皆さんと共有できたらと思っています。

前回のブログでは、なぜ僕たちおっさんがクロモリ自転車を選ぶのか、というテーマで、その「しなやかな乗り心地」や「普遍的な美しさ」について語りました。ありがたいことに、たくさんの反響をいただきました。

そこで今回は、さらに深く、もっとマニアックな世界に皆さんを誘いたいと思います。多くの人が語る「乗り心地の良さ」や「快適さ」だけじゃない、クロモリ自転車が持つ、もっと力強く、そしてロマンチックな魅力について、僕の熱い思いをぶつけさせてください。

今回の記事は、ちょっと長くなります。もしかしたら、コーヒーを何杯かおかわりすることになるかもしれません(笑)。でも、最後までお付き合いいただけたら、きっとクロモリ自転車の見方が変わるはず。さあ、一緒にクロモリの深い沼へダイブしていきましょう!


1. 骨太な「強さ」と「タフネス」:クロモリは折れない

まず、僕がクロモリ自転車から感じる最大の魅力、それは**圧倒的な「強さ」と「タフネス」**です。

カーボンやアルミのフレームが、最新の科学技術によって軽さと剛性を突き詰めているとすれば、クロモリは、昔ながらの「鉄」の持つ力強さを、現代に蘇らせた素材だと言えるでしょう。

1-1. 折れない、壊れない安心感

カーボンフレームは、軽くて剛性が高い反面、一点に強い衝撃が加わると、割れてしまうことがあります。アルミフレームも、金属疲労によっていつかは破断する運命にあります。しかし、クロモリは、そう簡単には折れません。多少の衝撃や転倒ではビクともしない、その粘り強さがクロモリの真骨頂です。

僕もね、通勤で自転車に乗っていると、どうしても転んだり、ぶつけたりすることもあるんです。そんな時、クロモリフレームの自転車なら、「まぁ、大丈夫だろう」って思える。もちろん、へこんだり傷ついたりすることはありますが、フレームが致命的なダメージを受けることはまずありません。

この「壊れにくい」という安心感は、自転車を日常の道具として使う上で、非常に重要な要素です。高価なフレームを「壊れたらどうしよう…」とビクビクしながら使うのは、なんだか本末転倒な気がするんですよね。クロモリは、そんな心配を僕たちから解放してくれる、頼もしい相棒なんです。

1-2. 修理できる、直せる「サステナブル」な強さ

そして、クロモリの強さは、物理的なタフさだけではありません。たとえフレームが曲がってしまったり、破損してしまったりしても、溶接技術のある工房に持ち込めば、修理して再び走れるようになる可能性が高いんです。

これは、カーボンやアルミフレームには真似できない、クロモリならではの大きな強みです。

「このフレーム、もうダメかな…」と思っていても、職人さんの手によって再び命を吹き込まれる。そして、また何十年も乗り続けられる。これって、すごくないですか?

使い捨てが当たり前の現代において、**「修理して長く使う」**という選択肢を与えてくれるクロモリは、まさにサステナブルな素材です。僕たちおっさんが、若い頃に買ったジーンズやレザージャケットを大切に着続けるように、クロモリ自転車もまた、修理を繰り返しながら、一生付き合っていくことができるんです。

この「修理できる」という事実は、僕たちに**「この自転車は、僕の人生と共に歩んでいける」**という、深いロマンと安心感を与えてくれるんです。


2. 時を刻む「ヤレ感」と「錆び」:クロモリにしか出せない味

「鉄は錆びるから嫌だ」という人もいますが、僕たちクロモリ好きにとって、「錆び」はネガティブな要素ではありません。むしろ、クロモリ自転車の最大の魅力の一つだとさえ思っています。

2-1. 美しい塗装と、その下で静かに育つ錆び

クロモリフレームの多くは、美しいパウダーコートやウレタン塗装で仕上げられています。でも、どんなに頑丈な塗装でも、長い年月と走行によって、必ずどこかに傷がついてしまいます。

そして、その傷口から、少しずつ錆びが顔を出す。

この錆びが、なんとも言えない**「ヤレ感」**を生み出すんです。ピカピカの真新しい自転車にはない、使い込まれた道具だけが持つ、独特のオーラ。

僕は、僕の自転車についた傷や錆びを見るのが好きなんです。それは、単なる傷ではなく、僕がこの自転車と過ごした日々の証だからです。

  • 雨の日に走った時の錆び。
  • 転んでしまった時にできた傷。
  • キャリアを付けた時に擦れた跡。

ひとつひとつの傷や錆びに、僕と自転車の物語が詰まっています。この「ヤレ感」は、カーボンやアルミフレームでは決して味わえない、クロモリだけの特権なんです。

2-2. 自分だけの「パティーナ(古色)」を育てる喜び

美術の世界では、長い年月を経て素材に現れる独特の風合いを**「パティーナ(古色)」**と呼びます。クロモリ自転車は、まさにこのパティーナを育てる喜びを僕たちに与えてくれます。

同じモデル、同じカラーの自転車でも、オーナーの乗り方や手入れの仕方によって、そのパティーナは千差万別です。毎日通勤で使っている人の自転車と、週末のロングライドでしか乗らない人の自転車では、まるで違う表情を見せるでしょう。

そして、そのパティーナを育てるためには、**「乗る」ことと「手入れをする」**ことが欠かせません。雨に濡れたら拭いてあげる、傷がついたらタッチアップしてあげる。そうやって手間をかけてあげるほど、自転車は僕たちの愛情に応えるかのように、美しいパティーナを纏っていくんです。

これは、単なる所有欲を満たすだけでなく、**「物と長く付き合う」**という、僕たちおっさんが大切にしている価値観そのものだと思います。


3. 「ロマン」を形にする自由度:クロモリは僕たちの夢を叶える

クロモリ自転車が持つ最大の魅力、それは**「ロマン」を形にする自由度**です。

カーボンやアルミのフレームは、その用途が明確に決まっていることが多いです。ロードバイクはロードバイクとして、グラベルバイクはグラベルバイクとして、最高のパフォーマンスを発揮するように設計されています。

しかし、クロモリフレーム、特にSurlyやCrust Bikesのようなブランドの自転車は、乗り手自身が用途を決めることができます。

3-1. 時代を超えてパーツを組み合わせる喜び

クロモリフレームは、古い規格のパーツでも、新しい規格のパーツでも、驚くほど自然に組み上げることができます。

  • 昔ながらのカンチブレーキと、最新のシマノのコンポーネントを組み合わせる。
  • 太いタイヤと、クラシックな革サドルを組み合わせる。
  • 100年以上前のパーツと、最新のLEDライトを組み合わせる。

こうやって、まるで時間の壁を越えるかのように、色々なパーツを組み合わせていくのが、本当に楽しいんです。

僕もデザイナーとして、新しいものと古いものを組み合わせて、新しい価値を生み出すことに喜びを感じます。クロモリ自転車は、そんな僕の創造性を最大限に刺激してくれる、最高のキャンバスなんです。

3-2. 自分だけの「物語」を紡ぐ旅の相棒

クロモリ自転車は、僕たちに**「旅」**というロマンを与えてくれます。

キャリアを付けてキャンプ道具を積んで、一人で山へ分け入っていく。そんな時、クロモリフレームの持つ「タフさ」が、僕たちの冒険心を後押ししてくれます。

カーボンフレームのロードバイクでは、舗装路から外れることに躊躇してしまいますが、クロモリフレームの自転車なら、ちょっとしたグラベルやダートでも臆することなく突っ込んでいけます。

「この自転車となら、どこへでも行ける」。そう思わせてくれるのが、クロモリの自転車なんです。そして、旅の途中で出会った景色や、トラブルを乗り越えた経験が、僕たちと自転車の間に、忘れられない物語を紡いでくれるんです。

この「旅のロマン」は、単なる速さや軽さを追求するだけでは味わえない、クロモリ自転車が持つ、特別な魅力だと僕は思います。


4. なぜ「スローな自転車ライフ」が僕たちおっさんの心に響くのか?

クロモリ自転車は、決して速さを競うための自転車ではありません。しかし、その代わり、僕たちに**「スローな自転車ライフ」**という、もっと豊かな時間を与えてくれます。

4-1. 景色を楽しみ、風を感じるゆとりの走り

クロモリフレームの自転車に乗ると、不思議と急いで走ろうという気持ちが薄れていきます。そのしなやかな乗り心地に身を任せ、ペダルをゆっくりと回しながら、周りの景色をじっくりと眺める。

それは、カーボンやアルミフレームの自転車が与えてくれる「風を切り裂くような疾走感」とは全く異なる感覚です。クロモリは、**「風に身を任せ、景色に溶け込むような、ゆとりの走り」**を僕たちに教えてくれます。

通勤の10kmも、ただの移動時間ではなく、僕にとっては心を整える大切な時間です。クロモリ自転車は、そんな僕の時間を、より豊かで穏やかなものにしてくれます。

4-2. 自分だけの「時間軸」を生きる喜び

現代は、何事も「スピード」が求められる時代です。でも、クロモリ自転車は、そんな時代の流れから少し離れて、自分だけの「時間軸」を生きる喜びを僕たちに与えてくれます。

  • パーツを一つ一つ吟味して、時間をかけて組み上げる楽しさ。
  • フレームの傷や錆びを愛でながら、その歴史を想像する時間。
  • 走ることよりも、旅の途中で立ち寄ったカフェで、美味しいコーヒーを飲む時間。

クロモリ自転車は、僕たちに**「急がなくてもいいんだよ」**と語りかけてくれているようです。そんな、心の余裕を与えてくれる存在だからこそ、僕たちおっさんの心に深く響くのかもしれません。


5. クロモリの「懐の深さ」:あらゆるパーツを受け入れる自由な懐

クロモリ自転車の魅力は、その物理的な強さや美しさだけではありません。パーツを組み合わせる上での**「懐の深さ」**も、クロモリならではの大きな強みです。

5-1. 様々な規格に対応する汎用性

現代の自転車の世界では、ホイールのサイズやブレーキの種類、ヘッドセットの規格など、日々新しいものが登場し、古いものが廃れていきます。しかし、多くのクロモリフレームは、昔ながらの規格を今でも採用していることが多いです。

例えば、ヘッドパーツはスレッド式とアヘッド式、どちらでも使える設計になっているモデルがあったり、エンド幅が旧来のクイックリリースと新しいスルーアクスルの両方に対応していたり。

この**「柔軟な対応力」**が、僕たち自転車好きの創造性を掻き立てます。古いパーツと新しいパーツを組み合わせて、自分だけのハイブリッドな一台を作り上げることができる。まるで、時代を超えて様々な文化をミックスさせるかのような、そんな楽しさがあります。

5-2. 壊れたパーツを自分で直せる「自立心」

クロモリフレームの多くは、シンプルな構造をしています。そのため、特別な工具や知識がなくても、自分でメンテナンスやパーツ交換を行うことができます。

もちろん、自転車屋さんに頼むのが一番安心ですが、「このパーツ、自分で交換してみようかな」と思わせてくれるのが、クロモリ自転車の魅力です。

僕は、自転車をいじるのが好きなんですけど、そのきっかけも、クロモリの自転車でした。最初は簡単なパーツ交換から始めて、少しずつ難易度の高いメンテナンスにも挑戦するようになりました。

自分で直せるからこそ、自転車への愛着も深まります。そして、万が一旅先でトラブルが起きても、「なんとかなるだろう」と思わせてくれる、そんな**「自立心」**を僕たちに与えてくれるんです。

5-3. 塗装を剥がして、自分好みの色に塗り替える楽しさ

クロモリフレームは、塗装を剥がして、自分好みの色に塗り替えることができます。カーボンやアルミフレームでは、なかなかできない芸当です。

僕はデザイナーとして、色やデザインには特にこだわりがあります。だから、「このフレームを、あの色に塗り替えたらどうなるだろう?」なんて、いつも妄想しちゃいます。

何度も色を塗り替えて、その都度、新しい表情を見せてくれる。まるで、僕の人生の節目節目に合わせて、一緒に姿を変えてくれるかのような、そんな存在になってくれるのが、クロモリの自転車なんです。


6. 「重い」からこそ、味わえる乗り味の深み

クロモリフレームの最大のデメリットとして、「重い」という点が挙げられます。しかし、この「重さ」も、見方を変えれば、クロモリならではの魅力に繋がっていると僕は考えています。

6-1. 安定した走り心地:重さが生み出す「安心感」

自転車の重心が低いクロモリフレームは、路面に吸い付くかのような安定した走り心地を生み出します。特に、荷物を積んだ時の安定感は、軽さを追求した自転車では味わえないものです。

通勤で荷物をたくさん積んだり、キャンプツーリングで重い荷物を積んだり。そんな時、クロモリ自転車の持つ「重さ」は、ふらつきを抑え、僕たちに安心感を与えてくれます。

軽さだけが正義じゃない。この「重さ」が、僕たちに**「地面に足をつけて走る」**という、もっと地に足の着いた自転車の喜びを教えてくれます。

6-2. 重いからこそ、トレーニングになる

クロモリの自転車に乗っていると、「もっと軽い自転車に乗れば、もっと速く走れるのに…」と思うこともあります。しかし、この「重さ」は、僕たちにとって最高のトレーニングツールにもなります。

重い自転車を漕ぐことで、自然と脚力や体幹が鍛えられます。そして、その重さに慣れてくると、どんな自転車に乗っても、「あれ?こんなに軽かったっけ?」と感じるようになります。

僕もね、通勤で坂道を登る時は「もうちょっと軽かったらなぁ…」って思うんですけど、その分、僕の体は少しずつ鍛えられている。そう思うと、この「重さ」も、僕の自転車ライフを豊かにしてくれる、大切な要素なんだなと思えます。

6-3. 重さが生み出す、唯一無二の「存在感」

クロモリ自転車は、その重さゆえに、どっしりとした存在感があります。街中に駐輪されているクロモリの自転車は、周囲の自転車とは一線を画す、独特のオーラを放っています。

それは、まるで、何十年も前からそこに存在していたかのような、歴史の重みを感じさせる存在感です。ピカピカの真新しい自転車にはない、使い込まれた道具だけが持つ、特別な魅力です。

この「存在感」が、僕たちクロモリ好きの心を惹きつけてやまない理由の一つなんだと思います。


7. クロモリ自転車が教えてくれた、モノと向き合う時間

僕がクロモリ自転車に乗って、一番大きく変わったこと。それは、**「モノと向き合う時間」**が増えたことです。

7-1. メンテナンスの時間:愛着を育む大切な時間

クロモリ自転車は、錆びやすいという特性があります。だからこそ、日々のメンテナンスが欠かせません。

  • 走った後に、フレームについた汚れを拭いてあげる。
  • 雨に濡れたら、しっかりと水分を拭き取ってあげる。
  • チェーンに油をさして、滑らかな走りを維持してあげる。

こうしたメンテナンスの時間が、僕にとっては、自転車と向き合う、愛着を育む大切な時間になっています。

これは、単なる「作業」ではありません。それは、僕がこの自転車と過ごした日々の労をねぎらい、これからも一緒に歩んでいきたいという、僕の想いを形にする時間なんです。

7-2. パーツを選ぶ時間:自分を再発見する時間

クロモリ自転車は、パーツの選択肢が非常に豊富です。だからこそ、パーツを選ぶ時間が、僕にとっては**「自分を再発見する時間」**になっています。

  • どんな色が好きか?
  • どんなデザインが好きか?
  • どんな乗り味を求めているか?

パーツを選ぶ過程で、僕の好みや価値観が、より明確になっていきます。それは、単なる自転車のカスタマイズではなく、僕自身の人生をカスタマイズしていくかのような、そんな喜びを与えてくれます。

7-3. 待つ時間:モノを大切にする心を育む時間

クロモリフレームの中には、オーダーメイドで職人さんに作ってもらうものもあります。そうしたフレームは、完成までに長い時間がかかります。

でも、この**「待つ時間」**が、またいいんです。

「こんな自転車にしたいな」って夢を膨らませながら、ワクワクしながら待つ。そして、完成したフレームを受け取った時の感動は、何物にも代えがたいものです。

この「待つ時間」が、モノを大切にする心を育んでくれます。それは、大量生産品では味わえない、クロモリならではの特別な時間です。


8. 終わりのないクロモリの旅:僕がこの自転車に乗り続ける理由

ここまで、僕がクロモリ自転車に感じる深い魅力について、1万字近く語ってきました。

クロモリ自転車は、単なる乗り物ではありません。それは、僕たちの人生に寄り添い、共に物語を紡いでくれる、最高の相棒です。

軽さや速さを追求するだけではなく、もっと本質的な「モノ」としての魅力を大切にする。それが、クロモリ自転車が持つ、本当の価値なんだと思います。

僕の自転車ライフは、これからもずっとクロモリと共に続いていくでしょう。錆びていくフレームを愛でながら、新しいパーツを組み込みながら、僕の人生の物語を一緒に紡いでいってくれるはずです。

このブログを読んで、少しでもクロモリ自転車の魅力が伝わっていたら嬉しいです。そして、もしあなたが、まだクロモリ自転車に乗ったことがないなら、ぜひ一度、その独特の乗り心地と、奥深い世界を体験してみてください。

きっと、あなたの人生も、少しだけ豊かになるはずです。

それではまた、次の記事でお会いしましょう!ヒロヤスでした!

OSBN?
Hrys Basics(ひろやす)
Hrys Basics(ひろやす)
Designer & Cr-Mo Freeks
中の人はCrust evasion乗り。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れる30第半ばのクリエイター。 海外の自転車ニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログを解説しました。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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