シムワークスが教えてくれた、自転車とモノづくりの「間」にある哲学

こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。さて、今回は、僕が大好きな日本の自転車ブランド「SimWorks(シムワークス)」について、ご紹介します。
日本の自転車文化をアップデートするということ
「シムワークス」という名前を聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
洗練されたデザインのハンドルやステム、そして、どこかノスタルジックな雰囲気さえ感じるタイヤやラックの数々。単なる自転車パーツブランドではない、何か特別な哲学を感じている人も多いんじゃないでしょうか。
シムワークスのルーツは、名古屋の老舗バイクショップ「Circles(サークルズ)」にあります。かつて自転車生産の一大拠点だった日本は、現在ではその中心が海外へと移り、アイデアも他国の受け売りがほとんどだという現状に直面しています。シムワークスは、そんな日本の自転車業界にぽっかりと空いた「空間」を、自分たちが信じるモノづくりで埋め合わせるために生まれました。
彼らが目指すのは、「自転車と人」「生産と流通」「プロダクトと感性」といった、さまざまな「間(あいだ)」をいい具合につなぐ存在。単なるパーツを売るだけでなく、その背景にあるストーリーや、それを生み出す職人の情熱を伝えることで、自転車に乗る楽しさや奥深さを広げようとしているんです。
海外から熱い眼差しが注がれる日本のモノづくり
僕がシムワークスを好きな理由の一つに、彼らが国内だけでなく、海外の自転車愛好家たちからも高く評価されているという点があります。
僕たち日本人が海外のパーツに憧れを抱くように、実は海外のサイクリストたちも、日本の丁寧なモノづくりや、独特の感性を持つプロダクトに熱い視線を送っています。シムワークスは、そんな海外のコミュニティと日本の職人たちをつなぐ架け橋のような存在になっているんです。
アメリカ西海岸のバイクショップで、日本のブランドであるシムワークスのハンドルやステムが当たり前のように並んでいるのを見た時は、本当に誇らしく感じました。それは、彼らのプロダクトが単に機能的であるだけでなく、そこに宿る哲学や美意識が国境を越えて人々の心を掴んでいる証拠なんだと思います。
継承される日本の職人技術と「用の美」
シムワークスのプロダクトは、その多くが日本国内の熟練した職人やメーカーとのコラボレーションから生まれています。なかでも特に有名なのが、老舗ハンドルメーカーの日東(Nitto)、ペダルメーカーの三ヶ島製作所(MKS)、そしてタイヤメーカーの**パナレーサー(Panaracer)**との取り組みです。
彼らが大切にしているのが、日本の文化にも通じる**「用の美」**という考え方です。余計な装飾を排し、機能性を徹底的に追求した結果として生まれる美しさ。日東との協業では、シムワークスの「楽しく使える」というデザインアイデアと、日東の「安全・安心」な製品を作るという厳格な基準が組み合わさることで、素晴らしい化学反応が生まれています。彼らが作る製品一つひとつには、効率を追求するのではなく、納得できる最高のクオリティを自らの手で生み出す職人のこだわりが宿っているんです。
僕がおすすめするSimWorksのプロダクトたち
ここからは、僕が個人的に「これはいい!」と感じた、シムワークスのプロダクトをいくつか紹介させてもらいます。
ハンドルバー:Wild Honey Bar (ワイルドハニーバー)
ワイドで絶妙なスイープ角(ハンドルが手前に曲がっている角度)が特徴のハンドルバーです。街中でのゆったりとしたライドから、ちょっとしたグラベル(未舗装路)まで、どんなシーンにも溶け込みます。僕の知人でも、このハンドルを愛用している人が多いんですよ。
ステム:Rhonda Stem (ロンダステム)
シンプルで洗練されたデザインのアルミ製ステム。実は僕が持っている自転車にも使われていて、Surlyのフレームとこのステムの組み合わせは、まさに鉄板のスタイル。派手さはないけれど、確かな剛性と美しい仕上げで、バイクの印象をぐっと引き締めてくれます。
タイヤ:The Homage (オマージュ)
グラベルやツーリングライドに最適なタイヤ。日本のパナレーサー社と共同開発されたこのタイヤは、日本の林道やグラベルを走ることを想定して作られています。サイドウォール(タイヤの側面)のカラーリングも豊富で、自分のバイクに合わせたコーディネートが楽しめるのが嬉しいですね。
ラック:Obento Rack (オベントーラック)
ミニマルなデザインのフロントラック。日常の買い物からバイクパッキングまで、使い勝手は抜群です。細身のクロモリチューブで作られていて、荷物を積んでいない時でも自転車の美しいフォルムを崩さないのが最高にクールです。

NITTO M18の進化版!ヒロヤスも使ってますが頑丈で安心のフロントラックですよ!
まとめ:自転車は「つなぐ」モノ
シムワークスのプロダクトは、ただ単に機能的なパーツではありません。そこには、職人たちの技術や、自転車を愛する人々の思い、そして「自転車を通じて人生を豊かにする」という確固たる哲学が込められています。
彼らが本当に作っているのは、単なるハンドルやステムではなく、「自転車に乗る喜び」を形にしたもの、と言えるのかもしれません。
機能性はもちろんのこと、手にしたときの質感、取り付けた時の収まりの良さ、そして何より、ライド中の気分を上げてくれるデザイン。そういった「感覚的な部分」にこそ、シムワークスの真価があります。彼らは、大量生産された製品にはない、作り手の思いやストーリーをまとい、長く大切に使いたくなるような、まるで日本の工芸品を手に取るような感覚を与えてくれます。これこそが、僕たちが自転車に求める本質的な魅力であり、現代のモノづくりに対する一つの答えなのかもしれません。
皆さんはシムワークスのどんなプロダクトが好きですか?ぜひコメント欄で教えてください!
それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!