Surly Long Haul Trucker:世界を股にかける、旅人のための永遠の定番

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。

僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。今回は、Surlyというブランドの代名詞的なモデルとも言えるフレーム、**Long Haul Trucker(ロングホールトラッカー)**について、深く掘り下げていきたいと思います。

このフレームは、派手さも最新の技術もありません。しかし、その圧倒的な信頼性と実用性から、世界中の自転車旅人に愛され続けています。なぜこのフレームが、多くのライダーにとって「究極の旅の相棒」であり続けるのか。その秘密を、メーカーの思いやフレームの細部にまで触れながら、僕なりに解説していきます。


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Long Haul Truckerに宿るメーカーの思い

Long Haul Trucker(以下、LHT)は、Surlyの哲学である**「タフで、シンプルで、実用的」**という思想を、ツーリングバイクという形で究極に突き詰めたものです。

ヒストリーとコンセプト

LHTが登場したのは、インターネットが普及し、個人で自由に旅をするスタイルが定着し始めた頃でした。多くのロードバイクやマウンテンバイクが主流となる中で、Surlyは、数週間、数ヶ月にわたる長距離の自転車旅に必要なものが何かを徹底的に考えました。

そして生まれたのが、このLHTです。このフレームにメーカーが込めたコンセプトは、ただ一つ。「世界中の、どんな道でも、どんな荷物でも、安全かつ快適に運べること」

華美なデザインや軽量化は二の次。最も優先されたのは、頑丈さ、安定性、そしてどこでも修理できる汎用性でした。LHTは、荷物を満載した状態で、何千キロもの旅を続けるために、徹底的にチューニングされたフレームなんです。

LHTが持つ魅力

  • 究極の安定性:荷物を積載した状態での安定感を最優先に設計されています。空荷で走ると少し鈍重に感じるかもしれませんが、それがこのフレームの真骨頂です。
  • 驚異的なタフさ:厚手のクロモリチューブを使用しているため、多少の衝撃や過積載にもビクともしません。旅の途中でフレームが壊れる心配はまずないでしょう。
  • 高いメンテナンス性:規格は全て世界共通で入手しやすいものが採用されています。旅の途中でパーツが壊れても、現地の自転車屋で簡単に交換できる安心感があります。

LHTの乗り味を形作るジオメトリとスペック

次に、LHTの「乗り心地」や「使い勝手」を決定づけている、具体的なジオメトリとスペックを見ていきましょう。

Long Haul Truckerのジオメトリ表

サイズReachStackHead Tube AngleSeat Tube AngleBB DropChainstay Length
42cm367.2497.270.0°75.0°47.0mm460mm
46cm371.3502.971.0°74.0°47.0mm460mm
50cm374.5532.371.0°73.5°47.0mm460mm
52cm374.6550.371.0°73.5°47.0mm460mm
54cm379.4568.371.0°73.0°47.0mm460mm
56cm388.3588.171.0°73.0°47.0mm460mm
58cm393.5606.171.0°72.5°47.0mm460mm
60cm402.5623.371.5°72.5°47.0mm460mm

ジオメトリから読み解くLHTのキャラクター

  • チェーンステーの長さ(460mm): これがLHTの最も象徴的な特徴です。一般的なロードバイクの405mm〜410mm、グラベルバイクの425mmと比べても圧倒的に長い460mmという長さに統一されています。この長さが、荷物を積んだ時の安定感を極限まで高めています。重いパニアバッグを積載しても、前後の重心バランスが崩れにくく、フラフラすることなくまっすぐ走ることができます。
  • BBドロップ(47mm): LHTは全サイズでBBドロップが47mmと、比較的浅く設計されています。これにより、ペダルが地面に接触するリスクを減らし、悪路での走行をより安全なものにしています。
  • ヘッドチューブアングル(ほとんどのサイズで71.0°): 非常に寝かせ気味のヘッドアングルは、ハンドリングを意図的に鈍くしています。これは荷物を積んだ状態で、不意なハンドル操作でバランスを崩すことを防ぐためです。ゆったりと、どっしり構えて走るための設計なんです。

フレームのスペックに言及する

  • フレーム素材:Surly CroMoly Surlyのアイデンティティとも言えるクロモリ素材。タフで耐久性が高いのはもちろん、しなやかで路面からの振動を吸収してくれるため、長時間のライドでも疲れにくい乗り心地を提供します。
  • エンド幅:フロント100mm、リア135mm 現代のロードバイクやグラベルバイクがスルーアクスルに移行する中で、LHTはあえてクイックリリース(QR)規格を採用しています。これは世界中のどこでもスペアパーツやホイールが手に入りやすいようにという、旅人のための配慮です。
  • BB規格:68mm幅のJIS(BSA)ねじ切り この規格は汎用性が高く、メンテナンスが非常に容易です。異音トラブルも少なく、旅の途中で自分でBB交換を試すこともできるので、DIY派のライダーには嬉しいポイントです。
  • キャリア・フェンダーダボ: フロントフォークとリアエンド、どちらにもキャリアとフェンダーを取り付けるためのダボ穴が豊富に用意されています。これは、LHTが旅のために生まれたフレームであることを如実に物語っています。

ヒロヤス的おすすめビルド:LHTを最高の旅の相棒にする

もし僕が今、LHTをゼロからビルドするなら、このフレームの持つ「タフさと実用性」を最大限に引き出すコンセプトでパーツを選びます。

「耐久性とメンテナンス性を最優先した、世界を旅するためのビルド」

コンポーネント

  • シマノ Deore / XT ロードバイク用のコンポではなく、マウンテンバイク用のコンポを選びます。MTBコンポは、タフさとトラブルの少なさ、そして広いギアレンジが魅力です。リアの変速段数は、あえて最新の12速ではなく、10速や11速に留めるのがコツ。旅先でチェーンやスプロケットが手に入りやすいからです。

ホイール

  • リム:Velocity Cliffhanger 耐久性の高いアルミリムで、重い荷物にも耐えられます。
  • ハブ:Phil Wood Touring Hub 自転車ハブ界の最高峰。タフで、過酷な状況でもトラブルを起こすことなく回り続けます。少々値は張りますが、一生モノのパーツです。

クランク

  • White Industries VBC クランク 美しい削り出しのクランクは、もはやアートピースです。フロントのチェーンリングを交換することで、様々なギア比に対応できる汎用性の高さも魅力です。

その他

  • ハンドルバーNITTO B135 Randonneur Bar ランドナータイプのドロップハンドルは、様々なポジションを取ることができ、長距離ライドでの疲労を軽減してくれます。
  • キャリアSurly Nice Rack LHTのために作られたキャリアです。抜群の安定性で、重い荷物もしっかり支えてくれます。

まとめ:LHTは、旅の信頼できるパートナー

LHTは、決して万人に受けるフレームではないかもしれません。軽量化されたロードバイクや、アグレッシブなグラベルバイクに比べれば、その走りは重く、鈍く感じるでしょう。

しかし、このフレームは、ライダーに「信頼」と「安心」を与えてくれます。世界のどこへ行っても、このフレームとなら大丈夫だと思わせてくれる、唯一無二の存在です。

速さや軽さを追い求めるだけではなく、ただひたすらに、自転車を走らせる喜びを求めている人。旅の途中で出会う人や景色を大切にしたい人。

そんなあなたの最高の旅の相棒として、LHTほど頼もしいフレームは、そう多くはないでしょう。

それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!

【取扱店舗情報】 Surly(サーリー)の自転車に出会える日本のショップ

Surlyの自転車は、独自のスタイルと哲学を持つショップで取り扱われていることが多いです。ここでは、日本全国の代表的なSurly取扱店をいくつかご紹介します。

関東
中部
関西
中国
四国
九州
北海道
沖縄
  • 店舗名: Blue Lug (ブルーラグ)
  • 地域: 東京都
  • 自転車を愛する人々が集まる、東京を代表するカスタムバイクショップ。Surlyをはじめとする個性的なブランドを多数扱い、独自のセンスで組み上げられた自転車は多くのファンを魅了しています。パーツの品揃えも豊富で、気軽に相談できる雰囲気も魅力です。
  • 公式ホームページ: https://bluelug.com/
  • 店舗名: Circles (サークルズ)
  • 地域: 愛知県
  • 名古屋を拠点に、自転車文化の発信地として知られるショップ。Surlyの魅力を深く理解し、ライフスタイルに合わせた提案をしてくれます。併設されたカフェ「Earlybirds Breakfast」も人気で、自転車好きのコミュニティスペースとしても機能しています。
  • 公式ホームページ: https://www.circles-jp.com/
  • 店舗名: Movement (ムーブメント)
  • 地域: 大阪府
  • 大阪市内に店舗を構える、カスタムバイクのプロショップ。Surlyの魅力を深く理解しており、ユーザーのスタイルや用途に合わせたオリジナルの1台を丁寧に組み上げてくれます。街乗りから本格的なツーリングまで、Surlyの多様な楽しみ方を提案してくれるでしょう。
  • 公式ホームページ: https://movement-cycle.com/
  • 店舗名: grumpy (グランピー)
  • 地域: 広島県
  • 広島県で長年Surlyを取り扱っている老舗ショップ。独自のイベントやライド企画も盛んで、Surlyを通じて広がる自転車の楽しみ方を提案しています。バイクパッキングやグラベルライドなど、Surlyの魅力を最大限に引き出すカスタムを得意としています。
  • 公式ホームページ: https://ride.grumpy.jp/
  • 店舗名: サイクルハウス ウエスタン
  • 地域: 愛媛県
  • 愛媛県にあるスポーツバイクショップ。Surlyの魅力を深く理解しており、グラベルロードやツーリングバイクなど、幅広いモデルの提案を得意としています。カスタムの相談にも親身に乗ってくれるので、安心して任せられます。
  • 公式ホームページ: https://www.ch-western.com/
  • 店舗名: 正屋 (MASAYA)
  • 地域: 福岡県
  • 福岡市にあるスポーツバイク専門店で、Surlyの取り扱いも豊富。ロードバイクやマウンテンバイクはもちろん、ツーリングや通勤に使えるSurlyの楽しみ方を提案してくれます。親しみやすい雰囲気も特徴です。
  • 公式ホームページ: https://www.masaya.com/
  • 店舗名: chillnowa (チルノワ)
  • 地域: 北海道
  • 函館市を拠点とする自転車ショップ。雪国ならではのファットバイク文化を牽引しつつ、様々なSurlyのバイクを扱っています。個性的なカスタムを得意とし、Surlyを遊び倒すスタイルを提案してくれるでしょう。
  • 公式ホームページ: http://www.chillnowa.com/
  • 店舗名: TairaCycle (タイラサイクル)
  • 地域: 沖縄県
  • 沖縄県北谷町にある自転車ショップ。Surlyの正規取扱店として、レースから街乗りまで幅広いニーズに対応しています。沖縄の美しい景色をSurlyで楽しむための提案をしてくれるでしょう。
  • 公式ホームページ: https://www.tairacycle.com/

記事を読んでSurlyの自転車が気になったら、是非近くのお店に足を運んで実物を見たり、試乗車があれば体験させてもらうのもいいですね!
※上記は代表的な店舗の一部です。最新の取扱状況や在庫については、各店舗のホームページやSNSをご確認いただくか、直接お問い合わせください。

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中の人はCrust evasion乗り。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れる30第半ばのクリエイター。 海外の自転車ニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログを解説しました。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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