オールドMTBレストアの魅力!カスタムの選択肢、有力なショップまで徹底解説。新しい自転車の楽しみ方とは。

こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。
僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。さて、今回は、ここ数年でじわじわと注目を集めている**「オールドMTB(マウンテンバイク)」**についてのお伝えしたいと思います。
オールドMTB、つまり80年代後半から90年代にかけて製造された、クロモリ素材のリジッド(サスペンションなし)や初期のサスペンション付きMTBフレームを現代のパーツで蘇らせて乗るという遊び方が、自転車界隈で大きな流れになってきています。これは一時的な流行で終わるのか? それとも文化として定着するのか? 結論から言えば、このムーブメントは一時的なブームの域を超え、**「定番のスタイル」**の一つとして確立されつつあると僕は感じています。
ヴィンテージのMTBフレームをベースに、現行の高性能なパーツを組み合わせることで、最新のグラベルロードにも引けを取らない走行性能と、最新のバイクにはない独特の存在感とストーリーが生まれる。この魅力に気づいた人たちが、次々とこの沼に足を踏み入れている状況です。
この記事では、僕と同じようにオールドMTBに興味があるけれど、何から始めたらいいかわからないという方のために、なぜ今オールドMTBが再評価されているのか、フレームの主な入手経路、評価の高いブランドの背景、そして現代で楽しむための具体的なカスタムの方向性や、頼りになるショップまで、僕の知る限りの全てを詰め込んで解説していきます。
なぜ今、オールドMTBが再評価されているのか?
オールドMTBが再び脚光を浴びている背景には、いくつかの複合的な理由があります。
1. グラベルロードブームとの相乗効果
近年、舗装路だけでなく砂利道や未舗装路も走破できる**「グラベルロード」が大ブームです。しかし、そもそもグラベルが走れるタフな自転車の元祖こそがMTBであり、特にクロモリ製のオールドMTB**は、現代のグラベルロードが持つ「タフさ」「汎用性」「拡張性」を既に備えています。
現代の極太タイヤ(2.1インチなど)が入るフレームが多く、フレームに設けられたキャリアダボ(ネジ穴)を使って荷物を積むバイクパッキングとの相性も抜群です。そのクラシックな見た目と実用性の高さが、今のニーズに完全に合致しているのです。
2. シンプルな構造とカスタムの自由度の高さ
80〜90年代のMTBは、現行のMTBのように複雑なリアサスペンション機構や専用規格のパーツをほとんど使っていません。シンプルな構造ゆえに、整備やカスタムがしやすく、特別な工具がなくても自分で作業できる部分が多いのが魅力です。
また、リムブレーキ(Vブレーキやカンチブレーキ)が主流だったため、ブレーキシステムのアップグレードの自由度が高いという側面もあります。制動力の高い現行のVブレーキに換装するだけで劇的に性能が向上し、手間をかけずに楽しめます。ただし、油圧ディスクブレーキ化するには、フレームへの台座溶接など大掛かりな加工が必要になるため、そのフレームが持つリムブレーキの良さを活かしたカスタムを楽しむのが、オールドMTBレストアの醍醐味と言えるでしょう。
3. クロモリフレームの魅力とデザイン性
多くのオールドMTBに採用されている**「クロモリ(クロムモリブデン鋼)」**フレームは、細身でしなやかな乗り味が特徴です。そして何より、そのデザインが素晴らしい。
特に、当時のデザイナーが工夫を凝らしたユニークなフレーム形状や、鮮やかなカラーリング、ロゴのフォントなど、現代の自転車にはない**独特の「遊び心」と「美しさ」**があります。工業製品としての機能美だけでなく、個性を主張できるアートピースとして評価されているのです。
憧れのクロモリMTBを手に入れる!主な入手経路
オールドMTBを手に入れる経路は、新品を購入する現行品と異なり、フレームの状態や価格が一点一点異なるため、宝探しのような側面があります。
1. 中古自転車店・専門ショップ
最も確実で安心できる方法です。特に、オールドMTBのレストアやカスタムを得意とする専門店では、既にオーバーホールや整備が施された状態で販売されています。価格は高めになる傾向がありますが、購入後のトラブルが少なく、組み付けやカスタムの相談にも乗ってもらえるのが大きなメリットです。
2. インターネットオークション・フリマサイト
個人間取引が主流のプラットフォームです。価格は安価に設定されていることが多いですが、状態の確認が難しく、サビやクラックなどの致命的なダメージを見落とすリスクがあります。フレームの状態を写真で多角的に確認し、わからない点は必ず出品者に質問するなど、慎重な対応が求められます。
3. ガレージや倉庫に眠っているデッドストック
地元の自転車屋さんや、知り合いの倉庫に、当時のMTBがそのまま眠っているケースも稀にあります。これは運とタイミング次第ですが、もし見つけることができたら、非常に価値の高いデッドストックフレームに出会えるかもしれません。
歴史が語る名作たち:評価の高いオールドMTBブランドとモデル
オールドMTBの魅力は、そのフレームが生まれた背景を知ることでさらに深まります。ここでは、特に評価が高く、レストアベースとして人気のあるブランドをいくつか紹介します。
GARY FISHER (ゲイリー・フィッシャー)
MTBの「父」の一人として知られるゲイリー・フィッシャーによって設立されたブランドです。彼は、ビーチクルーザーを改造して山を下る遊びを考案し、現代のMTBの基礎を築きました。
評価が高いのは、彼がMTB創成期である1980年代中期にデザインしたモデルです。彼の哲学が詰まったフレームは、遊び心と実用性を兼ね備えています。特に「MONTARE」や、後のTrek傘下になってからの「Hoo Koo E Koo」などは、デザインやジオメトリが優れており、レストアのベースとして非常に人気があります。
SPECIALIZED (スペシャライズド)
1970年代に設立され、ロードバイクからMTBまで、一貫して高性能なスポーツサイクルを提供してきたアメリカの巨大ブランドです。
オールドMTBとして評価が高いのは、1980年代後半から90年代前半のモデル、特に「STUMPJUMPER (スタンプジャンパー)」と「ROCKHOPPER (ロックホッパー)」です。スタンプジャンパーは、世界初の量産型MTBとして歴史に名を刻んでいます。これらのクロモリフレームは耐久性が高く、シンプルなデザインで、現代のパーツを組み込んでも違和感なく馴染む汎用性の高さが魅力です。
GT (ジーティー)
BMXからスタートし、1980年代後半からMTB市場に参入したアメリカのブランドです。彼らを象徴するのは、**「トリプルトライアングル」**と呼ばれる、シートステーをトップチューブとシートチューブを通り越して延長し、メインフレームと3箇所で接合する独自のフレーム構造です。
この構造がフレームの剛性と耐久性を高め、GTを一躍有名にしました。特に、アルミフレームのフラッグシップモデル「Zaskar(ザスカー)」や、リーズナブルながらタフなクロモリモデル「Aggressor(アグレッサー)」は、その特徴的な見た目から今も非常に人気が高く、カスタムベースとしても愛されています。
ARAYA (アラヤ) / Muddy Fox (マディフォックス)
日本のMTBの歴史を語る上で欠かせないのが、新家工業が展開した「Muddy Fox(マディフォックス)」です。ARAYAは1903年創業という長い歴史を持ち、1982年に国産初の量産型MTBとしてマディフォックスを発売し、日本のMTBブームの火付け役となりました。
当時の日本の地形や体格に合わせた丁寧な設計は、今見ても非常に魅力的です。特に初期のクロモリフレームモデルは、ジャパンビンテージとして高い評価を受けており、日本の里山やツーリングを楽しむためのベースとして人気があります。
現代とクラシックの融合:オールドMTBに似合う現行パーツとカスタムの方向性
オールドMTBレストアの醍醐味は、最新パーツの機能性とヴィンテージフレームの美しさをどう融合させるかにあります。
オールドMTBにフィットする現行パーツの選び方
カテゴリ | おすすめの現行パーツ | 選ぶ際のポイント |
タイヤ | マキシス、シュワルベなどの高ボリュームタイヤ | 26インチであれば、2.1インチ前後の太さのものが、見た目の迫力と乗り心地を両立させます。 |
ブレーキ | Vブレーキ(シマノ DEORE/ALTUSなど) | カンチブレーキからVブレーキに換装するだけで制動力は劇的に向上します。見た目もレトロモダンに。 |
駆動系 | 1×10速/11速コンポーネント (SHIMANO CUES / SRAM APEXなど) | フロントシングル化することで、見た目がスッキリし、トラブルも減ります。ただし、当時のハブは7速〜8速規格が主流のため、10速以上の多段化には、原則としてハブ(フリーボディ)やホイール全体の交換が必要となります。面倒な場合はリアは8sまででOK! |
ハンドル | NITTOやSURLYなどの高めのライズバー(ライザーバー) | アップライトな乗車姿勢になり、街乗りやツーリングでの快適性が向上します。 |
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カスタムの選択肢(方向性)
オールドMTBは、そのベースのポテンシャルが高いため、様々な方向性でカスタムが可能です。
1. アーバンコミューター(街乗り特化)
- 方向性: 泥除け(フェンダー)やバスケット、リアキャリアを装着し、日常の移動手段として最適化します。
- パーツ: スリックタイヤ、アップライトなハンドル、スタンド。
- 特徴: 毎日気軽に乗り出せる、実用性とファッション性を兼ね備えたカスタムです。
2. グラベル・バイクパッキング仕様
- 方向性: 未舗装路や長距離ツーリングを想定し、積載能力と走破性を高めます。
- パーツ: ブロックパターンタイヤ、フレームバッグやパニアバッグ、高剛性のキャリア。
- 特徴: フレームのダボを最大限に活かし、現代のグラベルバイクのように、どこへでも行ける相棒として蘇らせます。
3. クリーンなネオ・クラシックレストア
- 方向性: オリジナルのフレームの雰囲気を最大限に尊重しつつ、消耗品のみを最新のものにアップデートします。
- パーツ: 古いロゴやデカールを再現、サビ取り、再塗装、オールドルックな現行コンポ。
- 特徴: フレームの持つストーリーや時代感を大切にした、コレクション的な要素が強いカスタムです。
現代のプロダクトに生かされているオールドMTBの魂
中古のフレームを探す手間や、古い規格に不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、ご安心ください。オールドMTBが持つ「自由な精神」と「タフさ」は、現代の自転車にもしっかりと受け継がれています。ここでは、レストアせずに、すぐにその世界観を楽しめる現行プロダクトをご紹介します。
万能性の魂:Surly(サーリー)のBridge Club
オールドMTBが持っていた「どんな道でも、どんな荷物でも」という万能な精神を現代に受け継ぐブランドといえば、**Surly(サーリー)の存在は欠かせません。中でも「Bridge Club(ブリッジクラブ)」は、細身のクロモリフレーム、豊富なダボ穴、そして乗りやすいアップライトなジオメトリが特徴です。これは、当時のMTBが担っていた「コミューター、ツーリング、そして時にオフロード」**という役割そのものです。中古に抵抗がある方や、すぐに多用途に使える相棒を求める人にとって、これ以上ない選択肢です。
街乗りカスタムの定番:NITTO(日東)のハンドルバー
カスタムパーツとしてオールドMTBのルック&フィールを支えるのが、日本の老舗パーツメーカー、NITTOです。彼らのハンドルバーは、クラシックなクロモリフレームとの相性が抜群。特に「B802」のようなライザーバーは、メッキの質感と美しい曲げ加工が、オールドMTBを現代的なコンフォートバイクに昇華させてくれます。その品質の高さは世界的に知られており、クラシックな見た目を求める全てのバイクカスタムの定番です。
グラベルの走破性:Panaracer(パナレーサー)のグラベルキングシリーズ
オールドMTBが切り開いた「未舗装路を走る楽しさ」を現代に昇華させたのが、日本のパナレーサー「Gravel King (グラベルキング)」シリーズです。特にSK(セミノブ)モデルは、舗装路の抵抗を抑えつつ、未舗装路でのグリップも確保します。26インチや27.5インチなど、オールドMTBにフィットするサイズ展開もあり、古いフレームに現代の確かな走破性を与える信頼性の高いプロダクトです。
確かな知識と技術を持つ:オールドMTBを取り扱う有力ショップ
オールドMTBのカスタムやレストアは、フレームの規格が旧いこともあり、知識と経験が必要です。ここでは、僕が注目している、信頼できるショップを紹介します。
CRUMB CYCLES (クラムサイクルズ)
オールドスクールMTBのカスタムを非常に得意としている、このシーンを牽引するショップです。80〜90年代のオールドMTBフレームをベースに、現行のパーツを巧みに組み合わせて、現代的なアドベンチャーツーリングバイクやコミューターバイクへと蘇らせる手腕に定評があります。ネット販売も充実しているため、遠方の方でもカスタムの相談がしやすいでしょう。
- 住所: 東京都中野区4−42−11 小坂コーポ102
- 営業時間: 11:00〜20:00
- 定休日: 月曜日、木曜日
- URL: https://www.crumbworks.jp/
サイクルハテナ(丸太町店別館)
京都の有名自転車店「エイリン」が展開する別館です。特にヴィンテージや中古の自転車に力を入れており、ジャパンビンテージのMTBや、海外のオールドMTBフレームをレストア・カスタムした完成車を多く取り扱っています。古き良き自転車の文化を大切にしながら、現代の視点で新しい価値を見出す姿勢が素晴らしいです。関西圏でオールドMTBを探すなら、一度は訪れてみるべきお店です。
- 住所: 京都市上京区河原町通り丸太町上がる桝屋町367
- 営業時間: 12:00〜20:00
- 定休日: 盆・年末年始 / イベント開催日を除く
- URL: https://store-eirin-jp.com/pages/%E5%BA%97%E8%88%97%E4%B8%80%E8%A6%A7
まとめ:古き良きMTBを現代の相棒にするために
オールドMTBレストアのムーブメントは、単なる懐古趣味ではありません。それは、**「一つの道具を長く使い続ける価値観」と「古いものに新しい機能を与える創造性」**が、現代の自転車ユーザーのニーズと見事にマッチした結果だと僕は考えています。
古いクロモリフレームは、現行のカーボンやアルミフレームにはない、細身の美しさ、しなやかな乗り味、そして何より、当時の作り手やデザイナーが込めたストーリーを持っています。
そのフレームの魅力を活かしつつ、ブレーキや駆動系、タイヤといった「機能」に直結するパーツを現行品にアップデートすることで、オールドMTBは街乗りから、週末のキャンプライド、さらにはバイクパッキングの旅にも連れ出せる、最高の**「現代の相棒」**へと変貌を遂げます。
フレームの入手経路は様々ですが、初心者の方は、信頼できる専門店で整備済みの車両やフレームを購入し、カスタムの相談をしながら進めるのが、最も失敗が少ない方法です。また、中古に抵抗があるなら、現代にその魂を受け継ぐSurly Bridge Clubのようなブランドのクロモリバイクから入るのも、非常に賢明な選択肢です。
ぜひ、この機会にオールドMTBの世界に足を踏み入れてみてください。きっと、あなたの自転車ライフが、より豊かで、個性的なものになるはずです。
あなたなら、どの時代の、どのブランドのフレームを選びますか?そして、どんな色やパーツで、あなたのオールドMTBを蘇らせたいですか?ぜひコメント欄であなたの構想を教えてください!
それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!
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