僕の愛車はリアディレイラーのない未来:フロント多段化が生み出す、アラフォー自転車好きデザイナーの選択肢

こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。
自転車をカスタムする楽しみは、単に性能を向上させることだけではありません。いかにシンプルに、いかに美しく、そしていかに自分のライフスタイルにフィットさせるか。僕のようなデザイナーにとって、それはモノづくりの本質を突き詰める作業でもあります。無駄を削ぎ落とし、本当に必要な機能だけを残す。そんなミニマリズムを自転車の世界で体現しようと考えたとき、一つのアイデアが浮かびました。
今回は、僕が次のカスタムで考えている、ちょっと変わったギアの選択肢についてお話ししたいと思います。それは、リアディレイラーを外し、チェーンテンショナーに変更。フロントは2速か3速のみで乗る、という究極のエブリデイバイクの提案です。
なぜ、リアディレイラーを外すのか?
自転車のドライブトレイン(駆動系)において、リアディレイラーは最も複雑で、トラブルが起きやすいパーツの一つです。変速調整は繊細で、駐輪場でママチャリに当てられるなど、ちょっとしたことで調子が悪くなってしまうことがあります。僕の愛車も、何度かそうした経験をしてきました。また、メカメカしい見た目が、シンプルな自転車の美しさを損ねると感じる人もいるかもしれません。
リアディレイラーを外すという選択は、まさにそうした**「複雑さ」からの解放**を意味します。
- 究極のシンプルさ: 変速機のない、シングルスピードのような美しいリア周り。メカニカルなパーツがごちゃごちゃとついたリアエンドは、どうしても無骨な印象を与えてしまいます。それをチェーンテンショナーに置き換えることで、リア周りが驚くほどすっきりし、フレーム本来の美しいラインが際立ちます。これは僕のようなデザイナーにとって、何よりも魅力的なポイントです。
- トラブルからの解放: 調整の手間がなくなり、チェーン落ちなどの心配も激減します。街乗りがベースのエブリデイバイクでは、急な変速や不意の衝撃によってチェーンが外れるリスクを極力減らしたいもの。チェーンテンショナーは、そうした日常の些細なストレスから僕たちを解放してくれます。
- メンテナンス性の向上: シンプルな構造になるため、日常の清掃やメンテナンスが格段に楽になります。複雑な可動部がないため、チェーンやギアの清掃もあっという間に終わります。日々の手入れが簡単になることは、自転車を長く愛用していく上で非常に重要な要素です。
そして、もう一つ、このカスタムの大きなメリットがあります。それは、リアディレイラーとカセットスプロケットを排除することによる、劇的な軽量化です。
軽量化という、隠れたメリット
リアディレイラーと多段式のカセットスプロケットは、自転車のパーツの中でも比較的重量があります。特に、リアホイール周りは自転車の走行性能に大きく影響する「バネ下重量」にあたり、ここを軽くすることは、自転車全体の軽快感を大きく向上させます。
このカスタムでは、複雑なリアディレイラーと、10枚や11枚といった多段のスプロケットを外し、たった1枚のシングルコグに置き換えます。その結果、リアエンド周りの重量が大幅に削減されます。僕のイメージでは、このカスタムはただのシンプル化ではなく、「リア周りの大幅な軽量化」という、機能的なメリットも兼ね備えたカスタムなのです。
軽量化の恩恵は、漕ぎ出しの軽さや、加速時の気持ちよさに直結します。特に、信号の多い街中では、ストップ&ゴーの繰り返しが日常です。リア周りが軽くなることで、その一踏み一踏みがより軽快になり、ストレスなく街を駆け抜けることができます。この「軽快さ」は、高性能なレースバイクとは一味違う、日常に寄り添った心地よい軽さだと感じています。
しかし、ただリアディレイラーを外してシングルスピードにするだけでは、街乗りや坂道、少し長めのツーリングといった、多様なシーンに対応できません。そこで登場するのが、チェーンテンショナーとフロント多段化という組み合わせなのです。
チェーンテンショナーとフロント多段の仕組み
チェーンテンショナーは、リアディレイラーの代わりにチェーンのたるみを吸収し、チェーンが常に適切な張力を保つためのパーツです。一見するとシンプルなプーリー(滑車)のように見えますが、フロントのチェーンリングが切り替わった際のチェーンの長さの変化に追従するよう設計されています。
フロントディレイラーでギアを変速すると、チェーンリングの歯数が変わるため、チェーンの長さの余裕も変わります。例えば、アウターギア(大きなギア)からインナーギア(小さなギア)に変えると、チェーンは余ってたるんでしまいます。このたるみを吸収し、チェーンが外れるのを防ぐのが、チェーンテンショナーの役割です。
市販されているチェーンテンショナーの中には、PAUL Componentsの「Melvin」のように、ダブルプーリー構造でフロント2速化に対応しているものもあります。このようなパーツを使うことで、リアは変速しないまま、フロントのギアを切り替えることで、走行状況に応じたギア比を選べるようになるのです。
エブリデイバイクとしてのギアの選択肢
リアはシングルギア(変速なし)、フロントをダブル(2速)またはトリプル(3速)にするこのカスタムは、日常の「エブリデイバイク」に最適な選択肢です。
フロント2速(フロントダブル)
これは、最もバランスの取れた選択肢と言えるでしょう。
- ギア比の選択: 街乗りではアウターギアで快適に走り、ちょっとした坂道や荷物を積んだ時にはインナーギアに落とす。この2つのギアで、ほとんどのシーンをカバーできると考えています。具体的なギアの歯数は、アウター46T、インナー30T〜34Tあたりがいいかな、と思っています。この組み合わせなら、平地での高速巡航から、急な坂道まで、無理なく対応できるはずです。
- 操作性: フロントディレイラーはそのまま使用するため、手元のシフターでスムーズに変速できます。リアの変速機がないため、変速のたびにチェーンラインを気にしたり、細かな調整をしたりする必要がありません。このシンプルさが、日々のライドをより快適にしてくれるはずです。
フロント3速(フロントトリプル)
- ギア比の選択: 街乗り、坂道、そして重い荷物を積んだツーリングまで、あらゆる状況に対応できるワイドなギアレンジを確保できます。インナーギアにすることで、激しい坂道でも楽に登ることができ、アウターギアにすれば高速巡航も可能です。この選択は、僕がEvasionでやっているような「舗装路と未舗装路をシームレスに繋ぐ」旅に、さらなる安心感をもたらしてくれるかもしれません。
- 操作性: シフターはフロントディレイラー用をそのまま使用します。リアがシングルのため、リアディレイラーの調整という複雑な作業から解放され、よりシンプルな操作に集中できます。
僕のカスタム哲学:機能美と遊び心
このカスタムは、一見すると「変速機を減らす」というダウングレードのように感じるかもしれません。しかし、僕はこのカスタムに、自転車に対する新しい哲学を見出しています。
それは、**「必要な機能をミニマルに、そして美しくまとめる」**というデザイナーとしてのこだわりです。リアディレイラーという複雑な機構を排除し、シンプルなチェーンテンショナーに置き換える。そして、リアの多段スプロケットをシングルコグにすることで、軽量化とメンテナンス性の向上というメリットを享受する。さらに、フロントの多段ギアという、クラシカルな方式を再解釈して採用する。
この組み合わせは、現代のロードバイクやMTBのような高性能とは違う、「日常の道具」としての自転車の機能美を追求したものです。余計なものを削ぎ落とし、本当に必要な機能だけを残す。そして、その中に、自分だけのギア比という「遊び心」を忍ばせる。毎日乗るエブリデイバイクだからこそ、必要最低限で、最大に活用できる組み合わせを目指しています。このカスタムは、僕のアラフォー自転車好きデザイナーとしての探求心をくすぐる、最高の選択肢なのです。
さあ、次はどんなパーツを選んで、僕の愛車をさらに進化させようか。そう考えながら、僕は今日もコーヒーを片手に、次のカスタムプランを思い描いています。このカスタムが、僕の愛車をよりシンプルに、より軽く、そして何よりも愛着の持てる一台にしてくれることを願って。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!ヒロヤスでした!