ハワイの錆びたマングースに見る、クロモリが纏う「使い込まれた歴史」の美学

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。

僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。
ひとまず大阪に期間いたしました。いやー。旅行中も記事更新したかったんですが、遊び疲れ食い疲れでホテルに帰ったらバタンキュー。全然ブログ触ってる体力は残っておりませんでした。


さて、今回は、先日のハワイ旅行で僕の心に強く残った、「使い込まれた道具」としての自転車の価値と、それに深く関わるクロモリフレームの魅力についてのお伝えしたいと思います。

僕は日頃から、機能と美しさが両立したプロダクト、特に自転車では使い込まれた一台が放つ、歴史のようなオーラについて語ってきました。しかし、ハワイのローカルな風景の中で出会った自転車たちは、僕がこれまで愛でてきた**「道具の美しさ」を、クロモリという素材の本質とそのブランドの背景にある哲学という、より深い層から再認識させてくれたんです。その経験から、クロモリの持つ本質的な魅力、つまり「経年変化を許容し、物語を刻む耐久性」**を改めて深く考えることになったんです。

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ハワイの街で出会った「日常の脚」としての自転車

ハワイというと、眩しい日差しと白い砂浜、そしてピカピカのスポーツサイクルを想像するかもしれません。しかし、観光地から一歩離れたローカルな市場や住宅街を歩くと、風景は一変します。そこには、観光地という顔を持つ街を支える人々の**「仕事場」**があり、彼らの「日常の脚」として、過酷な使われ方をしている自転車たちがいました。

サビや潮風で塗装が剥げ、パーツもくたびれたビーチクルーザーや、原型をとどめているのが不思議なほど使い込まれたサスペンションのないオールドMTB。中には、パーツ交換の繰り返しで、もはや何がオリジナルかわからないピストバイクもありました。

それらは決して高級車ではないけれど、毎日、容赦ない日差しと海風に晒されながらも、確実に持ち主を目的地へ運んできた**「生きた道具」のオーラを放っていました。僕が常々追求している「使い込まれた美しさ」が、ここでは「日常の過酷さから生まれるタフさ」として、より強く、リアルに目の前に現れていたんです。この「使用の歴史そのものが生み出す美しさ」**の深みに、僕は大きな衝撃を受けました。

僕の心を奪った一台のオールドマングース

そんな中で、僕がナンバーワンにかっこいいと感じたのが、朝市マーケットで見た一台の自転車です。

白髪で小柄な、花柄のワンピースを着たおばあちゃんが押していた、ブルーのMongoose(マングース)のオールドMTBでした。錆びるべきパーツは全部錆びて、Vブレーキはなんだか斜めについている。日焼けなのか、立てかけた傷なのか、車体左半分の塗装はほとんど残っていませんでした。

しかし、そのボロボロの一台が、誇り高きクロモリのフレームを土台とし、おばあちゃんの毎日の生活を支えている。その姿は、僕がこれまで見てきた、単に「味がある」という言葉では片付けられない、「タフさと実用性」というクロモリの本質的な魅力を雄弁に語っていました。写真に収められなかったことが、今でも悔やまれます。あの一台こそが、僕にとってのクロモリMTBの魂だと感じたんです。

BMXからMTBへ Mongoose(マングース)の創業ストーリー

ハワイで見た一台がMongooseだったことで、僕は改めてそのブランドの歴史を深く掘り起こしました。クロモリフレームのMTBの文脈でMongooseを語ることは、まさにアメリカンサイクルの進化とタフネスの哲学を追うことになります。

1970年代:BMXの誕生とクロモリへのこだわり

Mongooseは、1974年に創業者のスキップ・ヘス氏が、カリフォルニアの子供たちがモトクロスごっこで自転車を壊しまくっているのを見て、「じゃあ、壊れないホイールを作ってやろう」と立ち上げたBMXプロダクツ社が前身です。

彼らは、頑丈なマグネシウム合金製のホイール「Motomag」を生み出し、1976年には世界初のBMX専用フレーム「Mongoose」を開発しました。BMXという、USA生まれの新しいサイクルスポーツの黎明期において、Mongooseの哲学の根幹は、**「タフで、過酷な使用に耐えうる」**フレーム作りを追求することにありました。この哲学は、後に続くMTBフレームにも一貫して受け継がれます。

1980年代:マウンテンバイクのパイオニアとして

その後、MongooseはMTBの開発にもいち早く取り組みます。彼らのBMXチームに所属していたジョン・トマックという若きライダーをMTBの歴史的なスーパースターに育て上げ、BMXで培った**「ダートで遊ぶための設計思想」**をMTBに注ぎ込みました。

彼らが初期に作り上げたMTBは、まさに**「丈夫さ」「走破性」を兼ね備えたクロモリフレームが主流でした。ハワイで見たあのボロボロの一台は、創業者がBMX時代から追求した「壊れないタフさ」と、トマックらが生み出した「MTBの自由な遊び方」**を体現する、歴史の生き証人だったわけです。

単なる廉価な自転車としてではなく、MongooseがBMX・MTBの黎明期を支えた**「遊びの文化を広げたパイオニア」**としてのストーリーを知ると、あのサビた一台がより一層、僕の胸に響くんです。

まとめ

ハワイで僕が出会ったのは、単に「味のある古い自転車」ではありませんでした。それは、僕が日頃から語っている**「使い込まれた道具の美しさ」の、さらに奥にある「タフな素材とブランド哲学」**の結晶でした。

クロモリという素材は、カーボンやアルミのように派手な軽量性や剛性は謳いません。しかし、一度溶接されてフレームとなれば、錆びにさえ気を遣えば、何十年と乗り続けることができます。経年劣化ではなく、経年優化とも言えるような、乗り手の身体に馴染み、その歴史を刻み込んでいく耐久性と柔軟性が、クロモリの最大の美点です。

MongooseのオールドMTBが教えてくれたように、自転車の本当の価値は、その価格やスペックではなく、「乗り手の人生にどれだけ寄り添い、どれだけの物語を共に紡いだか」にあるのかもしれません。そして、その長い道のりを支える土台として、タフで信頼できるクロモリフレームがある。この素材を選ぶことは、「使い捨てる」文化への一つの抵抗であり、「長く愛し続ける」という価値観を体現することに繋がるのではないでしょうか。

僕もデザイナーとして、機能性はもちろん、**「長く愛され、使い込まれる美しさ」**を持つモノづくりを追求していますが、自転車もまた同じ哲学の上に立っていると確信しました。もしあなたが、これから人生を共にするタフな相棒を探しているのであれば、ぜひ一度、クロモリフレームの自転車に触れてみてください。あなたの物語の始まりは、そこからかもしれません。

それでは、今回の記事を読んでのご感想や、あなたが街で見かけた「かっこいいオールドバイク」のエピソードがあれば、ぜひコメントで教えてください!

それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!

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中の人はCrust evasion乗り。最近古いMuddyFOXも仲間入りしました。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れるアラフォーのクリエイター。 自転車のあれこれやニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログにして行ってます。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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