自転車うんちく系

そういえばNJSってそもそも何?どうやって手に入る?クロモリが織りなす究極の競輪フレーム。

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。さて、今回は、僕たちクロモリ好きなら一度は耳にしたことがある、いや、きっと憧れの眼差しを向けているであろう「NJS」についてお伝えしたいと思います。

NJSって、いったい何者なんだ?僕も初めてその言葉を聞いたときは、なんだかすごく専門的で、少しとっつきにくい印象がありました。でも、調べていくうちに、その背景にある職人の情熱や、日本の自転車文化の奥深さに触れて、すっかり魅了されてしまったんです。NJSは単なる規格ではない。そこには、速さを追求し、安全を守るための、日本のものづくりの精神がぎゅっと詰まっているんです。

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NJSとは?

NJSとは、「日本自転車振興会(Nihon Jitensha Shinkokai)」の略称で、現在は「公益財団法人JKA」にその事業が引き継がれています。NJSの認証を受けるということは、日本のプロの競輪選手が使用する自転車やパーツが、定められた厳しい基準をクリアしていることを意味します。この認証は、ただ速く走るためだけでなく、選手たちの命を守るための安全基準でもあります。

競輪は、時速70kmを超えることもある、とても危険な競技です。そのため、フレームの強度、精度、使用される各パーツの耐久性など、細部にわたって厳格な検査が行われます。この認証を通った製品だけが、プロのレースでの使用を許されるのです。だからこそ、NJSのロゴが入った製品には、絶対的な信頼が寄せられます。

NJSとクロモリの関係性

競輪の公式レースで使用されるフレームは、現在でもほとんどがクロモリ製です。これは、クロモリが持つ優れた特性が、競輪という競技に非常に適しているからです。

クロモリは、カーボンやアルミに比べて、しなり、つまり「適度なねじれ」を持つ素材です。この特性が、ペダリングの力を効率よく推進力に変換し、独特の「伸びるような」加速感を生み出します。短距離での爆発的な加速と、安定した高速走行が求められる競輪において、クロモリのしなやかさは選手にとって大きな武器となります。

また、クロモリフレームは、溶接技術が熟練の技を要するため、日本の名だたるビルダーたちがその技術を競い合ってきました。NJSの認証は、そうした職人たちの技術力を証明するものでもあり、日本のフレームづくりの歴史そのものを物語っていると言えるでしょう。

NJSを代表するプロダクト

NJSの認証を受ける製品はフレームだけではありません。ヘッドパーツ、クランク、ハブ、ペダルなど、多岐にわたるパーツがNJS規格に準拠して作られています。ここでは、その中でも特に知られている、日本のものづくりを象徴するブランドと製品をいくつか紹介します。

フレーム

カラビンカ (Kalavinka): 独特の美しいラグワークで知られる、高村製作所のブランドです。まるでアート作品のようなその造形は、NJSフレームの中でも特に芸術性が高いと評価されています。

ナガサワ (Nagasawa): 競輪界のレジェンド、中野浩一選手のフレームを製作したことでも有名です。正確無比な精度と、硬質ながらも絶妙なしなりを持つフレームが特徴で、プロ選手からも絶大な支持を受けてきました。

サンレンショウ (3Rensho): 故・今野義氏が立ち上げた伝説的なブランド。革新的なフレーム設計と美しい溶接技術で知られ、日本の競輪界に大きな影響を与えました。今も多くのファンがそのフレームを求めています。

チェルビム (Cherubim): 1965年創業の老舗ブランドで、親子二代にわたってNJSフレームを作り続けています。クラシックなスタイルから現代的なデザインまで幅広く手がけ、特に美しい曲げ加工のバックステーが有名です。

ブリヂストン (Bridgestone): 世界的なタイヤメーカーとしても知られますが、NJSフレームも数多く生み出しています。日本の競輪を支えてきたブランドの一つで、その高い信頼性は多くの選手に選ばれてきました。

パーツ

シマノ デュラエース (Shimano Dura-Ace): NJSのパーツとして最も広く使われているのがシマノのデュラエースです。特にトラック用コンポーネントは、その精度と耐久性で世界中のトラック競技選手に選ばれており、日本のものづくりのレベルを世界に知らしめました。

スギノ (Sugino): クランクやチェーンリングで有名な日本のメーカーです。NJS認証を受けたクランクセットは、その剛性と美しさで多くのファンを魅了しています。その高い品質は、長きにわたってプロのレースで証明されてきました。

ニットー (Nitto): ハンドルバーやステム、シートポストなどを製造するブランドです。競輪選手が使用するドロップハンドルは、その絶妙な曲げ加工と耐久性で、NJS認証製品の中でも特に人気があります。美しい仕上げも魅力の一つです。

カシマックス (Kashimax): 競輪サドルで圧倒的なシェアを誇る日本のブランドです。選手のお尻を支えるサドルは、軽量性はもちろん、ペダリングのしやすさや耐久性が求められます。NJS認証サドルは、シンプルながらも機能性を徹底的に追求した究極の形と言えるでしょう。

競輪選手のお下がり?NJSフレームを手に入れるには

さて、これほどまでに作り込まれたNJSの自転車やパーツを、僕たち一般の人間はどうやって手に入れることができるのでしょうか。主に二つのルートがあります。

1. 競輪選手のお下がりや中古品を探す

競輪選手は、レースの成績やコンディションに合わせて頻繁に機材を入れ替えます。その際に手放された「お下がり」のフレームやパーツは、中古市場に出回ることがあります。競輪専門の自転車店や、ピストバイクを専門に扱うショップのオンラインストア、フリマサイトなどで見つけることができます。

これらの製品は、プロの選手が実際に過酷なレースで使用していたものなので、フレームに塗装の剥がれがあったり、細かな傷があったりすることも珍しくありません。しかし、それこそが「本物」であることの証であり、手に入れた人だけが知る特別なストーリーを感じられます。また、運が良ければ、有名な選手のサインが入っていたり、選手独自のカスタムが施されていたりすることもあり、宝探しのような楽しさがあります。

2. 新品をオーダーメイドする

NJS認定のフレームビルダーの中には、プロ選手だけでなく一般からのオーダーを受け付けている工房も存在します。彼らは一人ひとりの体格やライディングスタイルに合わせて、世界に一つだけのNJSフレームを製作してくれます。

新品のNJS製品を手に入れるのは、時間もコストもかかりますが、自分のために作られた究極のクロモリフレームに乗るという、何物にも代えがたい喜びがあります。自分でビルダーに直接コンタクトを取り、どんな自転車にしたいか、どんな乗り味を求めているかなどを細かく相談する過程も、ものづくりに関わる者としてはたまらない体験です。

まとめ:NJSの魅力と僕たちの日常

NJSは、単なる競技用の自転車やパーツの規格ではありません。それは、日本の自転車文化、特に競輪という独自の文化が生み出した、究極の「機能美」の象徴です。

安全性と速さを追求するために、一切の妥協なく作られたクロモリフレームやパーツたち。その哲学やものづくりの精神は、僕たちが街乗りで乗るクロモリの自転車にも通じるものがあります。流行に流されず、長く愛せる自転車を選ぶとき、僕たちは無意識のうちに、NJSの精神が宿ったクロモリの魅力に引き寄せられているのかもしれません。

NJS規格の自転車は、固定ギアのピストバイクとして街乗りで楽しむこともできます。もちろん、競技用なので取り扱いには知識が必要ですが、その圧倒的な存在感と、シンプルながらも計算され尽くした美しい造形は、見る人を惹きつけずにはいられません。僕もいつか、NJSのフレームを手に入れて、その乗り味をじっくりと堪能してみたいと思っています。

NJSについて、僕のブログ読者の皆さんの意見も聞いてみたいです。もしNJSのフレームを乗っている方や、NJSについて何か知っていることがあれば、ぜひコメントで教えてください!それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!

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中の人はCrust evasion乗り。最近古いMuddyFOXも仲間入りしました。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れるアラフォーのクリエイター。 自転車のあれこれやニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログにして行ってます。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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