日本のグラベルバイクは「旅の道具」だ:アメリカとの違い、日本ならではの楽しみ方

こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。
僕の愛車であるクロモリフレームのEvasionは、通勤や週末のライドで本当に様々な道を走ります。荒れたアスファルト、ちょっとした砂利道、そして時折、未舗装の道に迷い込むことも。グラベルバイクと呼ばれるこのタイプの自転車は、ここ数年で日本でもすっかりお馴染みになりました。
しかし、グラベルバイクは単なる流行りものとは一線を画す、僕たちにとって非常に重要な「旅の道具」です。今回は、日本のグラベルバイクが、自転車文化が根付くアメリカのそれとどう違うのか、そして僕たちがグラベルバイクでどのように遊んでいるのか、その魅力を語ってみたいと思います。
日本におけるグラベルバイクの立ち位置
日本におけるグラベルバイクは、ロードバイクのような絶対的な速さや、MTB(マウンテンバイク)のようなアグレッシブな走りを追求するものではありません。その立ち位置は、舗装路も未舗装路も分け隔てなく走る、まさに**「全地形対応型ツーリングバイク」**として定着しています。
国土の約7割が山間部である日本では、舗装された幹線道路から一歩入れば、細い林道や、古くから続く里山道が網の目のように広がっています。グラベルバイクは、そんな日本の複雑な地形を縦横無尽に走るための最高のパートナーです。ロードバイクでは躊躇するような荒れた路面や、MTBでは少しもったいない舗装路を、快適に、そして安心して走ることができます。グラベルロードが流行る以前にも、MTBにスリックタイヤを履かせたATB(All-Terrain Bike)というジャンルはありましたが、現在のグラベルバイクは、よりロードバイクに近い乗車姿勢と軽快な走りを備え、長距離を快適に走ることに特化している点が大きな違いです。
アメリカのグラベルバイクとATBとの用途の違い
アメリカと日本のグラベルバイクの用途には、明確な違いがあります。この違いは、それぞれの国の地理的、文化的背景を強く反映しています。
アメリカのグラベルバイク
広大な国土を持つアメリカでは、何百kmにもわたる未舗装のグラベルロードが、まっすぐに地平線まで続いています。アメリカのグラベルバイクは、そうした**広大な土地を何日もかけて走り抜ける「バイクパッキング」**や、広大な砂利道を高速で走る「グラベルレース」に主眼が置かれています。そのため、タフで安定した走行性能、そして多くの荷物を積載できる積載能力が重視されます。
日本のATBとグラベルバイク
一方、日本の自転車文化においてATB(All-Terrain Bike)は、MTBが主流になる以前に流行しました。太いタイヤを履かせたATBは、当時の舗装路や荒れた道を走るための、いわば**「日常の万能車」**でした。しかし、サスペンションを備えたMTBの登場により、その役割は一旦終焉を迎えます。
現代のグラベルバイクは、そのATBのコンセプトを、ロードバイクの軽快さとツーリングの快適性を掛け合わせて再解釈したものです。しかし、アメリカのような壮大なグラベルロードは少なく、日本のグラベルバイクは**「舗装路と未舗装路をシームレスに繋ぐ」**ことに特化していると言えるでしょう。
日本ならではのグラベルバイクの楽しみ方
では、僕たちはグラベルバイクでどのように遊んでいるのでしょうか?そこには、日本ならではの風景や文化を取り入れた、独自の楽しみ方があります。
1. 地元の「林道」や「古道」を巡る
日本の林道は、手入れが行き届いていない場所も多く、MTBではオーバースペック、ロードバイクでは走行不能という、グラベルバイクにとって最高のフィールドです。また、昔の人々が歩いた古道や、廃線跡を巡る旅も、グラベルバイクなら可能です。舗装路から突然ダートに変わり、鬱蒼とした森の中へと誘われる。そんなドキドキするような冒険を、グラベルバイクは日常にもたらしてくれます。
2. 「温泉」や「食事」と組み合わせる
日本のサイクリストは、ただ走るだけでなく、その土地の文化や食を楽しむのが大好きです。グラベルバイクなら、山奥にある秘湯の温泉宿を目指したり、林道を抜けた先にある古民家カフェで地元の食材を使った料理を堪能したり、といった楽しみ方ができます。荷物を積むためのダボ穴(ボトルケージやキャリアを装着するためのネジ穴)が豊富にあるのも、グラベルバイクの大きな魅力です。
3. 「里山」を駆け抜ける冒険
里山とは、人々の暮らしと自然が共存する、日本の原風景です。グラベルバイクは、そんな里山の細い農道や、田んぼのあぜ道なども軽快に走ることができます。春には桜並木、秋には黄金色の稲穂の中を走り抜け、四季折々の日本の美しさを五感で感じることができます。
まとめ:グラベルバイクは、僕たちの「日常の冒険」を彩る相棒
グラベルバイクは、単なる自転車ではありません。それは、日々の通勤路から、週末のちょっとした冒険まで、僕たちの生活を豊かにしてくれる「旅の相棒」です。
アメリカの広大な大地を走るグラベルバイクとは少し違うけれど、日本の山道や里山を巡る、僕たちなりの楽しみ方が、そこにはあります。そして、この「全地形対応型ツーリングバイク」という新しい相棒は、僕たちアラフォー自転車好きデザイナーの好奇心をくすぐり、まだ見ぬ日本の風景を求めて走り続ける、最高のモチベーションを与えてくれます。
さあ、次は何を積んで、どの道を走ろうかな。そう考えながら、僕は今日もコーヒーを片手に、次の冒険のルートを思い描いています。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!ヒロヤスでした!