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Crust Wombat、その自由な魂。

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こんにちは、ヒロヤスです。

僕の愛車Crust Evasionとの日々を綴る中で、たくさんの反響をいただき、本当に感謝しています。

今回は、そんな自由な魂をさらに刺激する一台、Crust Bikesの「Wombat(ウォンバット)」について、深く掘り下げていきたいと思います。Wombatは、Evasionとはまた違ったアプローチで僕たちの遊び心をくすぐる、まさにCrustらしいバイクです。僕も次のCrustはこのフレームだって決めてます笑。

無駄な部分がなく、シンプルでいて頑丈。まさにファンライドにはもってこいの1台。
ツーピースバーを使って大きめのBMXみたいに組んでやる、と妄想しています。

この記事を読めば、Wombatがただの自転車ではない、Crust Bikesが考える「遊び」の哲学そのものだと感じてもらえるはずです。さあ、Wombatの奥深い世界へ旅に出かけましょう。

Crust Wombatとは?既存の枠にとらわれないATB

まず、Wombatを一言で表現するなら、それは「現代版ATB(All-Terrain Bike)」でしょう。ATBは、マウンテンバイク(MTB)の原型とも言えるジャンルで、舗装路から未舗装路まで、あらゆる道を走ることを想定して作られた自転車です。Wombatは、そのコンセプトを現代の技術とCrust Bikesの遊び心で再構築した一台と言えます。

特徴的なのは、そのジオメトリーとコンポーネントの組み合わせ。太いタイヤとリムブレーキの組み合わせは、最新のトレンドとは一線を画しています。しかし、その一見古風に見える構成こそが、Wombatの真骨頂。既存のルールや規格に縛られることなく、「本当に楽しい自転車とは何か?」を追求した結果なのです。

名前が示すもの:Wombat(ウォンバット)に込められた想い

このユニークな名前「Wombat(ウォンバット)」には、Crust Bikesの遊び心とバイクの性格が如実に表れています。ウォンバットは、オーストラリアに生息するずんぐりとした体型の草食動物。短い脚で地面を効率的に掘り進み、地下に広大な巣穴を築きます。その姿は、見た目の愛らしさとは裏腹に、驚くほどタフで多様な環境に適応する能力を持っています。

Crust Bikesがこの名前を選んだのは、ウォンバットという動物が持つイメージと、このバイクのコンセプトがぴったり重なるからでしょう。街中の舗装路はもちろんのこと、土や砂利道、そしてちょっとしたトレイルまで、意外な場所にも果敢に侵入し、オーナーを安全な巣穴(快適な場所)へと連れ帰ってくれる。そんな頼りになる相棒としての願いが込められているのではないでしょうか。

デザインの核心:Wombatを構成するパイプとジオメトリー

Wombatのフレームは、僕のEvasionと同じく熱処理されたクロモリ鋼でできています。TIG溶接された無骨なビードは、Crustらしい力強さを感じさせます。しかし、Wombatが特別なのは、そのパイプの使われ方とジオメトリーです。

  • ハイボトムブラケットと短いチェーンステー: Wombatは、BBハイト(地面からBBまでの高さ)が比較的高く、チェーンステーが短めに設計されています。これにより、ペダリングクリアランスが確保され、タイトなトレイルや障害物を乗り越える際に地面にぶつかるリスクが減ります。また、短いチェーンステーは、バイクの反応性を高め、キビキビとした走りを可能にしています。
  • 寝かせたヘッドチューブアングル: ヘッドチューブアングルが寝ている(角度が小さい)ことで、高速走行時の安定性が増し、荒れた路面でも安心して下ることができます。これは、現代のマウンテンバイクにも通じる設計思想です。
  • セグメンテッドフォーク: Wombatのアイコンとも言えるのが、セグメンテッドフォーク(分割式のフォーク)です。強度と剛性を高めつつ、見た目にも個性的で、自転車のキャラクターを決定づけています。

これらのジオメトリーは、Wombatが「ストリートからトレイルまで」という幅広い用途に対応できる所以です。街中の段差を飛び越えたり、スケートパークで遊んだり、そして週末にはシングルトラック(幅の狭い未舗装路)を駆け抜けたり。Wombatは、僕たちの遊び心を刺激し、新しい道を切り拓いてくれる、まさに最高の遊び道具なのです。

互換性の哲学:あえての「リムブレーキ」と「シングルスピード」

Wombatを語る上で欠かせないのが、そのユニークなコンポーネント互換性です。

リムブレーキの選択

多くの最新バイクがディスクブレーキを採用する中で、WombatはVブレーキまたはカンチブレーキを推奨しています。これはCrustのこだわりであり、一つの哲学だと僕は思います。

リムブレーキは、シンプルな構造で軽量、メンテナンスも容易です。また、ディスクブレーキのようにローターを曲げてしまう心配もありません。何よりも、Crustが愛するクラシックなバイクの雰囲気を醸し出す上で、リムブレーキは不可欠な要素です。もちろん、性能面でもVブレーキは十分な制動力を持ち、トレイルライドでも不安を感じることはありません。

シングルスピードMTB

Wombatは元々、シングルスピードMTBとしてデザインされました。僕のEvasionと同じく、スライドドロップアウトを採用しているため、チェーンテンショナーなしで簡単にシングルスピード化が可能です。

  • シングルスピードの魅力: ギアがない分、ペダリングに集中でき、自転車と一体になるような感覚を味わえます。また、メンテナンスの手間が格段に減り、自転車をよりシンプルに楽しむことができます。
  • 多段ギアへの対応: Wombatは基本的にシングルスピードでの運用を想定していますが、スライドドロップアウトの調整幅を利用し、別売りのサードパーティ製ディレイラーハンガーを装着することで、多段ギアでの運用も可能です。これは、Crust Bikesが提供する柔軟性の一つであり、ユーザーが自由にバイクをカスタムできる余地を残しています。

BikepackingにおけるWombatの真価

Wombatは、そのジオメトリーと豊富なマウントのおかげで、バイクパッキングのベースバイクとしても非常に優れています。

  • 豊富なマウント: フォークには3連のカーゴマウントがあり、ボトルケージやカーゴケージを取り付けることができます。これにより、積載能力が大幅に向上し、数日間のキャンプツーリングにも対応できます。
  • 内部ケーブルルーティング: ドロッパーシートポストやダイナモライトのための内部ケーブルルーティングも完備しています。これにより、ドロッパーポストを装着して下り坂での安定性を高めたり、ダイナモハブを組んで夜間のライドでも電池切れを気にすることなく走れたりします。

Wombatは、その設計思想から日常のライドから本格的なバイクパッキングまで、あらゆる用途で最高の相棒になってくれます。

Evasion、Wombat、そしてSurly Cross-Check:それぞれの個性を比較する

僕が愛用しているEvasionと、Wombat、そしてクロモリバイクの定番として長年愛されてきたSurlyの「Cross-Check」は、それぞれ異なる哲学を持つ素晴らしいバイクです。

  • Crust Evasion: 「アドベンチャーロード」や「グラベル」に属し、より長距離ツーリングや荷物をたくさん積んで旅をするのが得意なバイクです。ドロップハンドルを装着することが多く、ロードバイクのような軽快さとMTBのような走破性を兼ね備えています。そのルーツは、Crust Bikesのオーナーであるマット・ホワイトヘッドが数々の旅で得た経験にあります。
  • Crust Wombat: 「ATB」や「MTB」に属し、より遊び心に特化したバイクです。ライザーバーやフラットバーが似合い、タイトなトレイルやテクニカルな路面で真価を発揮します。高めのBBハイトと短いチェーンステーは、街中でのトリックやシングルトラックでの俊敏性を高めるために設計されています。
  • Surly Cross-Check: まさに「オールラウンダー」を体現する一台です。シクロクロス、通勤、ツーリング、ストリートライドなど、あらゆる用途に使える懐の深さが最大の魅力です。特徴的なのは、130mmのロードハブと135mmのMTBハブの両方に対応する「Gnot」と呼ばれるリアエンド幅と、シングルスピードにもギアードにも対応するリアエンドです。また、多くのSurlyバイクに共通する、タフで実用的なダブルバテッドクロモリフレームと、ラックやフェンダー用の豊富なマウントを備えています。

Evasionが「旅」をテーマに、Wombatが「遊び」をテーマにしているとすれば、Cross-Checkは「実用性」と「汎用性」をテーマにしていると言えるでしょう。しかし、どのバイクもクロモリという素材が持つ独特のしなやかさと耐久性を活かし、オーナーが自由にカスタムできる余白を残しているという共通点があります。

まとめ:Wombatは僕たちの冒険心を呼び覚ます

Crust Wombatは、既存の自転車の枠にとらわれず、Crust Bikesが考える「遊び」の哲学を形にしたバイクです。リムブレーキ、シングルスピードへの対応、豊富なマウント、そして個性的なジオメトリー。これらはすべて、僕たちが自転車でどこへでも行ける、どこでも遊べる、という自由な冒険心を呼び覚ますための仕掛けなのです。

僕たち自転車乗りが店員よりも詳しくなりたいと願うのは、単なる知識欲だけではありません。それは、その自転車が持つ物語や哲学、そして作り手の思いに触れたいという、深い情熱があるからです。Wombatには、そうした物語がぎっしりと詰まっています。

もしあなたが、日々のライドに新しい刺激を求めているなら、そして「遊び」の可能性を広げたいと思っているなら、ぜひCrust Wombatの世界に足を踏み入れてみてください。きっと、最高の相棒があなたを待っているはずです。

それではまた、次の記事でお会いしましょう!ヒロヤスでした!

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Hrys Basics(ひろやす)
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Designer & Cr-Mo Freeks
中の人はCrust evasion乗り。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れる30第半ばのクリエイター。 海外の自転車ニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログを解説しました。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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