メーカー紹介

革サドルの革命児「セラアナトミカ」の物語

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。さて、今回は、革サドルというクラシックな世界に、まったく新しい風を吹き込んだメーカーについてお伝えしたいと思います。

その名は「セラアナトミカ」。

自転車乗りの皆さんなら一度は耳にしたことがあるかもしれません。特に、長距離を走るブルベライダーや、バイクパッキングで旅をする人たちに深く愛されているサドルメーカーです。その独特なデザインと、一度座ったら忘れられないその快適性から、僕はかねてからその背景にとても興味を持っていました。今回は、そんなセラアナトミカの成り立ちから、その哲学、そして僕なりに細やかに捉えたプロダクトの魅力まで、じっくりと皆さんと分かち合いたいと思います。

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セラアナトミカはどこにある?創業者と会社の物語

セラアナトミカは、アメリカ国内で手作業で革サドルを製造し続けている、数少ないメーカーのひとつです。その歴史は、2007年にウルトラサイクリストであるトム・ミルトン氏によって始まりました。彼は、長年にわたる自身のサイクリング経験から、「世界で最も快適なツーリング革サドル」という明確なビジョンを掲げ、革サドルの新たな可能性を追求し始めます。

革サドルは、使い込むほどにお尻の形に馴染み、唯一無二の座り心地になると言われますが、その一方で、硬くて馴染むまで時間がかかるという難点がありました。トム・ミルトン氏は、この「馴染ませるまでの苦痛」を無くし、買ったその日から快適な乗り心地を提供するサドルを生み出すことに情熱を注ぎました。

その結果生まれたのが、革の中央に縦に長いスリットを開けるという、革サドルの常識を覆すデザインです。このスリットによって、サドルの左右の面が独立して動き、座骨や会陰部にかかる圧力を効果的に逃がすことに成功しました。この革新的な構造は、後に「Flex-Flyシステム」として特許を取得することになります。

セラアナトミカの製品哲学と特徴

セラアナトミカのサドルは、単に快適性を追求しただけではありません。そこには、機能性だけでなく、美しさや持続可能性といった、デザイナーである僕も共感する深い哲学が息づいています。

革新的な製造方法

彼らは伝統的な革サドルの製法にとらわれず、独自の技術を開発しています。一般的な革サドルが、革を水に浸して成形するのに対し、セラアナトミカは水を使用しない「hot-molded dry製法」を採用。これにより、革が最初からしなやかになり、ひび割れが起こりにくく、短期間で体形に馴染むようになります。また、トップレザーとサポートレザーの二重構造にすることで、高い柔軟性を持ちながらも型崩れしにくい耐久性を実現しています。

究極の乗り心地

セラアナトミカのサドルに座ると、まるでハンモックに包まれているかのような感覚になります。これは、中央のスリットがペダリングの動きに合わせてしなやかにたわみ、お尻にかかるストレスを分散してくれるからです。長時間のライドでもお尻が痛くなりにくく、走りに集中できるのは、この独特な構造のおかげです。

メンテナンスと持続可能性

セラアナトミカは、サドルに使われる革を「消耗品」と考えています。だからこそ、一部のモデルではボルトとナットで革が固定されており、ユーザー自身で簡単に革を交換できるようになっています。これにより、一つのサドルをフレームはそのままに、革だけ交換して長く使い続けることが可能となり、持続可能なモノづくりへの姿勢がうかがえます。

日本での歩みと愛され方

セラアナトミカは、国内の熱心な自転車ショップやサイクリストの間で徐々に知られるようになり、今では多くのファンを持つサドルメーカーとなりました。その魅力は、やはり「革サドルなのに、最初からお尻が痛くならない」という圧倒的な快適性に尽きるでしょう。

特に、クラシックなスチールバイクやクロモリの自転車を好む人たちに深く受け入れられています。伝統的な革サドルのルックスを持ちながら、中身は最先端の技術が詰まっているというギャップが、モノの背景にこだわる人々の心を掴んでいるのだと思います。

セラアナトミカを代表するプロダクト

Xシリーズ

セラアナトミカの代表的なシリーズです。革サドルの「X1」、ラバーサドルの「R2」など、複数のラインナップがあります。特に「X1」は、独自の穴空きデザインと二重革構造の「WaterShedレザー」により、軽量な乗り心地を追求したモデルです。

Hシリーズ

「Xシリーズ」よりも革が厚く、より耐久性を高めたシリーズです。体重が重めのライダーや、よりタフなライドを求める人に向けて設計されています。「H1」はスチールフレームとクロモリレール、一方「H2」は軽量なアルミフレームとステンレスレールを採用するなど、用途や好みに合わせて選ぶことができます。

まとめ

セラアナトミカのサドルは、ただの自転車パーツではありません。それは、サイクリストの経験から生まれた、機能と美しさを両立させた「作品」だと僕は感じています。

革サドルというと、馴染むまで大変、雨に弱い、重い、といったネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、セラアナトミカは、それらの課題を独自の技術と哲学で解決し、革サドルの魅力を最大限に引き出すことに成功しました。

特に、そのユニークなスリットやモジュール式のデザインは、見た目からして他とは一線を画しています。このサドルが、サイクリストにとっての新たな選択肢となり、自転車での旅や街乗りをさらに豊かなものにしてくれることは間違いありません。

この記事を読んで、セラアナトミカに興味を持った方がいたら、ぜひ一度その乗り心地を試してみてください。その感動は、きっと新しい自転車ライフへの扉を開いてくれるはずです。

それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!

ご意見やご感想があれば、ぜひコメントで教えてくださいね。

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Designer & Cr-Mo Freeks
中の人はCrust evasion乗り。最近古いMuddyFOXも仲間入りしました。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れるアラフォーのクリエイター。 自転車のあれこれやニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログにして行ってます。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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