英国老舗Raleigh(ラレー)の哲学を掘り下げる。歴史、日本展開、そして現行カールトンシリーズの魅力

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。 僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。さて、今回は、僕が長年追いかけているテーマであるクロモリ(クロムモリブデン鋼)フレームの自転車の中でも、特に深く掘り下げてお伝えしたいブランドがあります。

それは、英国が世界に誇る老舗ブランド、**ラレー(Raleigh)**です。

ラレーという名前を聞くと、多くの人が細身でクラシカルなロードバイクやミニベロを思い浮かべるでしょう。その通り、彼らのデザインには、130年以上の歴史に裏打ちされた普遍的な美しさがあります。しかし、このブランドの真価は、単なるレトロな見た目にとどまりません。彼らが創業以来一貫して追求してきた**「英国の実用主義(プラグマティズム)」**、そしてその哲学が、どのように現代の日本の自転車に息づいているのか。

今回は、他のどの情報源よりも深く、ラレーというブランドが持つ物語と文化に焦点を当て、その魅力を余すところなくお伝えしたいと思います。特に初めてクロモリバイクを選ぶ方や、毎日を共にする通勤・通学用の相棒を探している方にとって、ラレーがなぜ最適な選択肢なのかを掘り下げていきます。

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英国が誇る130年超の歴史と「実用主義」の誕生

ラレーの物語は、19世紀末のイギリスに遡ります。 創業は1888年、場所はイングランド中部の都市ノッティンガムにある「ラレーストリート」でした。これがブランド名の由来となっています。

創業者である**フランク・ボーデン(Frank Bowden)**氏のバックストーリーは、このブランドの哲学を理解する上で欠かせません。ボーデン氏は香港で実業家として成功を収めていましたが、その激務で体を壊し、誰からも見放されるほどに衰弱してしまいます。

しかし、友人の勧めで始めたトライシクル(三輪車)や、当時の最新鋭だったセイフティサイクル(現在の自転車の原型)でのサイクリングを通じて、奇跡的に体力を回復させたのです。

この**「自転車がもたらす健康と移動の自由」**という個人的な体験こそが、ボーデン氏を突き動かしました。彼は、その感動を世界に広めるべく、ノッティンガムにあった小さな自転車工房を買い取り、Raleigh Cycle Companyを設立します。

ラレーの根幹にあるコンセプトは、この創業者の体験から生まれた**「英国の実用主義(British Pragmatism)」**です。華美な装飾ではなく、機能的で、日常使いに耐え、そして長く愛用できる製品づくり。このスタンスは、130年を経た今も、すべてのラレーモデルに強く受け継がれています。

自転車の進化を支えたラレーの技術とスタンス

ラレーが単なる老舗で終わらなかったのは、技術革新を恐れなかったからです。彼らは、自転車の発展に不可欠な多くの技術を開発しました。

例えば、フレーム接合に使われるプレスラグの採用や、現代の内装変速システムの基礎となる技術開発など、彼らの歴史は自転車の歴史そのものと言っても過言ではありません。20世紀半ばには、ラレーは世界最大の自転車メーカーにまで成長し、「ツール・ド・フランス」などの著名なレースでも活躍。スポーツサイクルの一角をも占めることになります。

彼らが追求したのは、「変わらないこと、進化すること」という、一見矛盾するテーマの具現化でした。クラシカルな美しさを保ちながら、時代に合わせてコンポーネントやジオメトリーを更新していく。デザイナーの僕としては、機能性と審美性のバランスをこれほどまでに高次元で両立しているブランドは稀だと感じています。

日本の自転車文化とラレー・ジャパン(ARAYA)の繋がり

ラレーと日本の関係は深く、明治時代に欧州文化や技術が流入した際、ラレーをはじめとする英国製自転車は日本の自転車産業の基礎研究に大きな影響を与えました。

そして現代、日本のサイクリストにとって最も身近な存在となったのが、**新家工業(ARAYA)との協力によって生まれた「ラレー・ジャパン」**モデルです。

日本での本格的な展開が始まったのは2003年春以降。これは単なる輸入販売ではありません。英国ラレーの哲学である「実用主義」を受け継ぎつつ、日本の道路環境や日本人の体格、そしてツーリング文化に合った設計を施す。これが「ラレー・ジャパン」の真骨骨です。

アラヤとの連携により、品質管理も徹底され、長距離の旅や街乗りで真価を発揮する、繊細で乗りやすいクロモリモデルが多数生み出されています。この**「英国の魂と日本の技の融合」**こそが、ラレーが日本で長く愛され続けている最大の理由でしょう。

ラレーが誇るクロモリ・プロダクトの物語

ここからは、ラレー・ジャパンの現行ラインナップの中から、特にクロモリフレームが際立つプロダクトをピックアップしてご紹介します。どのモデルも、通勤・通学といった日常使いから、週末のサイクリングまで幅広く対応できる実用性を兼ね備えています。

CARLTON-F(CRF)を代表するプロダクト:軽量性と走りの美学

ラレーのクロモリロードのフラッグシップ的存在です。

  • フレームのこだわり: 上位グレードの**REYNOLDS 631(レイノルズ631)**という高級クロモリパイプが採用されています。細身のクロモリフレームながら軽量性を突き詰めた、美しさと機能性を兼ね備えた一本です。
  • おすすめの乗り方: シマノ 105コンポーネントを装備し、本格的なロングライドやヒルクライムにも対応する走行性能を持っています。初めての本格的なロードバイクとして、クロモリ特有の「しなり」を楽しみながら、長く付き合いたい本格派におすすめです。

CARLTON-DC(CR-DC)を代表するプロダクト:旅心を刺激するグラベルモデル

近年人気のグラベルロードの潮流に乗った、現代的なツーリングモデルです。

  • フレームのこだわり: クロモリフレーム特有の振動吸収性と耐久性を活かしつつ、ディスクブレーキを採用。キャリアダボやセンタースタンド台座も装備し、バイクパッキングや長距離ツーリングを強く意識した設計です。
  • おすすめの乗り方: 標準装備の700×38Cという太めのタイヤは、通勤路の荒れた路面や砂利道でも安定感抜群です。通勤用途として抜群の実用性を持ちながら、週末はそのまま旅に出られるような、自由度の高いフレームです。

CARLTON-B(CRB)を代表するプロダクト:クラシックとモダンを繋ぐ入門機

クロモリロードの入門機として最適なモデルであり、クラシックデザインをモダンに昇華させています。

  • フレームのこだわり: フルクロモリフレームを採用し、独特の細身のシルエットを保ちながら、機械式ディスクブレーキを搭載することで、現代的な制動性能とメンテナンス性を両立させています。
  • おすすめの乗り方: シマノ CLARISで組み上げられており、初めてのクロモリバイクとして最適な価格帯と性能バランスを持っています。ディスクブレーキは天候を問わず安定した制動力を発揮するため、通勤・通学のタフな移動にも最適です。

RSW Special(RSP)を代表するプロダクト:街を駆けるミニベロの伝統

ロードバイクだけでなく、小径車にもラレーの哲学は息づいています。

  • フレームのこだわり: 美しい細身のクロモリフレームを使用した小径車(ミニベロ)です。信頼性の高いVブレーキを採用しており、コンパクトな見た目ながら直進安定性を高めています。
  • おすすめの乗り方: 街中でのストップアンドゴーが多くなる通勤やポタリングに最適です。小径車ながらクロモリのしなやかさで乗り心地が良く、駐輪スペースが限られる場所でも活躍する実用的なプロダモリクトです。

まとめ:ラレーの「変わらない美しさ」をどう楽しむか

ラレーというブランドは、自転車を単なる移動手段としてではなく、人生を豊かにするツールとして捉えています。その哲学は、**「実用主義」**という言葉に集約されています。

創業者のフランク・ボーデンが経験したように、自転車は健康と生活の質を向上させるものです。だからこそ、ラレーのクロモリバイクは、流行を追うよりも、**「毎日乗れること」「長く使えること」**を最優先に設計されているのです。

特に、初めてのクロモリを探している方や、通勤・通学に使う相棒を探している方にこそ、ラレーをおすすめしたい。

  • 耐久性: クロモリは非常に粘り強く、日常のタフな使用にも耐え、万が一の修理も比較的容易です。
  • 快適性: クロモリ特有の振動吸収性のおかげで、通勤路の段差や長距離移動での疲労を軽減してくれます。
  • 美しさ: 細身でクラシカルなデザインは時を経ても色褪せず、長く愛用するほどに味わいが増します。

ラレーのクロモリ車を選ぶということは、英国の伝統と日本の丁寧なモノづくり、そして創業者フランク・ボーデンの自転車への情熱という物語を、自分の日常に迎え入れることだと僕は思います。ぜひ、あなたもラレーのクロモリ車に触れ、その歴史と美学を感じてみてください。

あなたのラレーへの想いや、もし今乗っているならどのモデルを選んだのか、その理由をぜひコメントで教えてください!

それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!

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中の人はCrust evasion乗り。最近古いMuddyFOXも仲間入りしました。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れるアラフォーのクリエイター。 自転車のあれこれやニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログにして行ってます。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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