フレームメーカー紹介

日本の魂が生んだ自転車フレームの至宝、東洋フレームの物語

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。 僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。さて、今回は、僕が自転車の世界にのめり込むきっかけにもなった、日本の宝とも言うべきブランド、「東洋フレーム(TOYO FRAME)」について、じっくりとお伝えしたいと思います。

大阪に住む僕にとって、同じ大阪の柏原市に拠点を構える東洋フレームは、どこか近しい存在でありながら、そのものづくりへの姿勢には、いつも襟を正されるような気持ちにさせられます。単なる製品としての自転車ではなく、その背景にある歴史、哲学、そして職人たちの情熱。今回は、ウェブ上のどの情報よりも深く、そして僕自身の自転車への愛を込めて、東洋フレームの魅力に迫っていきます。

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東洋フレームとは何者か?大阪が世界に誇るクラフトマンシップの結晶

東洋フレームは、1973年に大阪府柏原市で創業した自転車フレームの専門メーカーです。特に、僕が愛してやまないクロモリ(スチール)フレームの製造において、世界トップクラスの技術力を持つことで知られています。

「Made in Japan」という言葉が、時に安易なブランドイメージとして消費される現代において、東洋フレームはその言葉の本質的な価値を体現し続けている稀有な存在です。彼らの仕事は、単に日本でフレームを作ることではありません。日本の文化、歴史、そして日本人の持つ繊細な感覚を、一本一本のパイプに、そして一つ一つの溶接に込めていくこと。それこそが、東洋フレームの真髄なのです。

創業から現在へ。東洋フレームが歩んだ歴史の道

東洋フレームの物語は、1973年に「東洋溶工所」として産声を上げたところから始まります。創業者は石垣允顕氏。当初はナショナル自転車(現在のパナソニック)のパートナー企業として、その技術を磨いていきました。

やがてその卓越した技術は国内に留まらず、世界の名だたるブランドの目にも留まるようになります。RITCHEY(リッチー)やRivendell(リベンデル)、FUJI BIKESといった、自転車好きなら誰もが知るブランドのフレーム製造をOEM(相手先ブランドによる生産)として手掛け、東洋フレームの名は、ブランド名が表に出なくとも、その品質の高さで世界中に知れ渡っていきました。

1996年のアトランタオリンピックでは、海外メーカーの依頼で現社長の石垣鉄也氏が製作したマウンテンバイクフレームに乗った選手が、見事銀メダルを獲得するという快挙も成し遂げています。

こうした経験を経て、彼らは自社ブランド「TOYO FRAME」を本格的に始動させます。創業時から変わらぬ「人が手を入れなければ、モノの精度は出ない」という信念のもと、機械だけに頼らない、職人の手仕事によるフレーム作りを今もなお続けているのです。

「語りたくなる自転車を」。東洋フレームの哲学

東洋フレームのウェブサイトには、彼らの哲学が記された印象的な言葉があります。

時代も場所も越えて、自転車と共に過ごした日々を、見た景色を、体験した冒険を、戦った記録を― その全てを誰かに話したくなるような、そんな自転車を届けたい。

これは、自転車を単なる移動手段やスポーツの機材としてではなく、乗り手の人生に寄り添う「相棒」として捉える、彼らの温かい眼差しを感じさせる言葉です。

競技で1秒を争うライダーも、自転車で世界を旅する冒険家も、毎日の通勤で街を走る人も、等しくその時間を豊かに過ごせること。そのために、乗り手のストレスを限りなくゼロに近づけ、心から「楽しい」と思える乗り心地を追求する。その実直な姿勢こそが、国内外のサイクリストから絶大な信頼を得ている理由なのでしょう。

東洋フレームを代表するプロダクト

それでは、現在販売されているモデルの中から、特に東洋フレームの魂が感じられるクロモリフレームを中心にご紹介します。

HYBRID ROAD – 伝統と革新の融合

クロモリフレームのしなやかな乗り心地と、カーボンの持つ軽量性・高剛性を融合させた、東洋フレームの代名詞とも言えるモデルです。フレームの主要部分にはクロモリパイプを使用しつつ、フロントフォークやシートステー(モデルによる)にカーボンを採用。これにより、クロモリ特有のバネ感のある進み心地はそのままに、キレのあるハンドリングと鋭い加速性能を両立させています。レースやヒルクライムなど、パフォーマンスを重視しつつも、長距離での快適性を求めるライダーにおすすめしたい一台です。

ROAD-S – これぞ王道、オールスチールの哲学

東洋フレームが考えるクロモリロードの「基準」。それがこのROAD-Sです。フレームは全てのパイプがスチールで作られており、まさに鉄の自転車の魅力を凝縮したようなモデル。これに軽量なカーボンフォークを組み合わせることで、路面からの細かな振動をフレーム全体でいなし、まるで上質な絨毯の上を走っているかのような滑らかな乗り心地を実現しています。急かされることなく、自分のペースでどこまでも走り続けたくなるような、懐の深いフレームです。週末のロングライドや、美しい景色を求めてのツーリングに最適な相棒となるでしょう。

CX / GRAVEL シリーズ – 道を選ばない冒険心

シクロクロスレースや、近年人気のグラベルライディングに対応するモデルもラインナップされています。悪路での安定性やコントロール性を重視した設計で、太いタイヤを装着できるクリアランスも確保。舗装路から砂利道、林道へとシームレスに駆け抜けることができます。バイクパッキング用の装備を積んで、まだ見ぬ景色を探しに行くような、冒険心あふれる使い方にぴったりのフレームです。

まとめ – なぜ僕たちは東洋フレームに惹かれるのか

さて、ここまで東洋フレームの歴史から哲学、そして具体的な製品について語ってきました。 彼らの自転車がなぜこれほどまでに僕たちの心を掴むのか。
それは、単に性能が良いとか、デザインが美しいという言葉だけでは片付けられない、もっと深い部分にあるのだと僕は思います。

情報が溢れ、あらゆるものが驚くべき速さで消費されていく現代において、東洋フレームはまるで時代の流れに逆行するかのように、時間と手間を惜しまない「手仕事」にこだわり続けています。それは、一台の自転車が完成するまでの物語を大切にしているからに他なりません。
パイプの一本一本を選び、火を入れ、削り、そして繋ぎ合わせる。その全工程に、職人の経験と感性、そして「良い自転車を作る」という純粋な情熱が注ぎ込まれているのです。

デザイナーという仕事柄、僕はモノの背景にあるストーリーや作り手の想いに強く惹かれます。東洋フレームの自転車は、まさにそうした「語るべき物語」に満ちています。それは、ただの工業製品ではなく、作り手の体温が感じられる工芸品に近い存在。

だからこそ、手に入れた瞬間から特別な愛着が湧き、乗り込むほどに自分の身体の一部のように馴染んでいく。共に走った道のり、雨に濡れた日、風の匂い、そんな一つ一つの記憶がフレームに刻まれ、世界でたった一台の、自分だけの「相棒」に育っていくのです。

もしあなたが、スペックや軽さだけではない、自転車との真の対話を求めているのなら。流行に左右されず、10年、20年と長く付き合える一台を探しているのなら。ぜひ、この大阪の小さな工房が生み出す、魂のこもったフレームに触れてみてください。そこにはきっと、あなたの自転車観を根底から変えてしまうような、深く、豊かな世界が広がっているはずです。

この記事を読んで、あなたが「良い自転車」とは何かを改めて考えるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。皆さんの心に残った東洋フレームの魅力や、愛車にまつわるストーリーなど、ぜひコメントで聞かせてくださいね。

それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!

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中の人はCrust evasion乗り。最近古いMuddyFOXも仲間入りしました。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れるアラフォーのクリエイター。 自転車のあれこれやニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログにして行ってます。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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