Fairdaleってどんなブランド?スケートカルチャーが息づくテキサスのバイクブランド

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自転車好きなら一度は耳にしたことがあるかもしれない「Fairdale(フェアデール)」というブランド。そのルーツは、BMXとスケートボードのカルチャーに深く根ざしています。単なる自転車メーカーではなく、自由な発想と遊び心を体現するそのバックボーンを知れば、きっとあなたもFairdaleのファンになるはずです。

1. Fairdale誕生の物語:テキサス・オースティンという土地が育んだ哲学

Fairdaleの創設者である**タジ・ミヘリック(Taj Mihelich)**は、BMXの世界では伝説的なライダーとして知られています。彼は長年にわたってプロBMXライダーとして活躍し、その創造的なライディングスタイルとアートセンスで多くのファンを魅了してきました。

しかし、長年のプロ生活で怪我を負った彼は、テキサス州オースティンにあるデザインオフィスでBMXの製品開発に携わるようになります。この街は、BMXやスケートボード、そして音楽やアートなど、多様なカルチャーが根付くことで知られています。そんな日々の中で、タジはふとしたきっかけから、ゴミ捨て場で見つけた「おばあちゃんの自転車」を乗り始めます。競技としてのBMXとは全く違う、ただ街を気ままに走るだけのそのシンプルな体験が、彼の自転車に対する考え方を大きく変えました。

「自転車に乗るという、最もシンプルな行為がもたらす幸せを、より多くの人に伝えたい。」

この哲学がFairdaleの原点です。BMXの世界で培ったタフなバイク作りのノウハウと、純粋に自転車に乗る楽しさを広めたいというタジの想いが、オースティンという自由な空気の中で形となり、2010年にFairdaleは誕生しました。長年のスポンサーであるBMXパーツブランド「Odyssey BMX」の強力なバックアップも、このユニークなブランドを支える重要な要素です。

2. スケートボーダーに愛される理由:Fairdaleとスケートボードの意外なつながり

Fairdaleは、そのユニークなコンセプトから、特にスケートボーダーたちからの支持を集めています。その理由は、BMXとスケートボードが共有するカルチャーにあります。

2-1. ストリートを遊び場にする精神

BMXもスケートボードも、ストリートを舞台に、ありふれた街の障害物を遊び道具に変えていきます。Fairdaleのバイクは、BMX譲りのタフな作りと、街乗りに適した快適なジオメトリを併せ持っており、まさに「街を遊び場にする」という両者の共通した精神を体現しているのです。

2-2. スケートボードラックという画期的なアイテム

Fairdaleが展開するユニークなアイテム「Skaterack(スケートボードラック)」は、スケーターにとって画期的な存在です。自転車のリアキャリアに取り付けることで、スケートボードをスマートに持ち運ぶことができます。スケートスポットからスポットへ、あるいは家からスケートパークへ移動する際に、これほど便利なものはありません。このラック一つをとっても、Fairdaleがスケーターのライフスタイルを深く理解していることがわかります。

また、プロスケートボーダーの**ノラ・ヴァスコンセロス(Nora Vasconcellos)**とのコラボレーションモデル「NORA LOOKFAR」をリリースするなど、スケートカルチャーへのリスペクトを形にしています。

3. Fairdaleをさらに好きになる理由:ユーモアとアートが息づくブランド

Fairdaleの魅力は、ただタフで乗りやすいバイクを作っているだけではありません。その根底には、タジ・ミヘリックの豊かなアートセンスと、遊び心あふれるユーモアが満ちています。

3-1. BMX界の伝説的アーティスト、タジ・ミヘリックのアート

タジはライダーとしてだけでなく、独特な作風を持つアーティストとしても知られています。彼のデザインは、ブランドのロゴやTシャツ、ステッカーなど、様々なアイテムに落とし込まれています。例えば、サムライの甲冑を着たウサギがニンジン型の刀を構えているTシャツのデザインなど、そのユーモアと意外性あふれるアートワークは、Fairdaleというブランドに唯一無二の個性を与えています。

3-2. 意外性あふれる異業種コラボレーション

Fairdaleは、そのユニークな哲学に共感するブランドと積極的にコラボレーションを行っています。特に注目すべきは、地元のビールメーカーとのコラボです。例えば、テキサスの人気ビールブランド「New Belgium」や「Zilker Beer」とカスタムバイクを制作し、彼らの従業員にプレゼントしたり、イベントを共同開催したりしています。これは、ただ自転車を売るだけでなく、人々のライフスタイルに寄り添い、楽しさを共有したいというFairdaleの姿勢を象徴しています。

4. Fairdaleを代表するバイクモデル

Fairdaleのラインナップは、BMXの世界で培ったノウハウを、一般的なコミューターバイクやツーリングバイクに落とし込んでいる点が特徴です。

  • Weekender(ウィークエンダー): Fairdaleの最も代表的なモデルです。通勤・通学などの日常使いから、週末のツーリングまでをカバーするオールラウンドなバイク。グラベルロードやアドベンチャーツーリングにも対応できる懐の深さが魅力です。
  • Lookfar(ルックファー): シンプルで扱いやすいコミューターバイク。初心者でも乗りやすい設計で、気ままな街乗りを楽しめます。
  • Macaroni(マカロニ): 20インチ、24インチのキッズ/ユースモデル。BMXのタフさと街乗りバイクの快適性を両立しており、タジ・ミヘリックの哲学が詰まった一台です。
  • Taj(タジ): 27.5インチホイールを採用したBMXクルーザー。創設者タジ・ミヘリックのシグネチャーモデルで、BMXのスタイルを大人向けにスケールアップしたモデルです。
  • Hareraiser(ハレライザー): ダートジャンプやストリートライディングに特化したモデル。FairdaleのBMXルーツを強く感じさせるラインナップです。

5. Fairdaleを彩るライダーたち

Fairdaleは、単に自転車に乗るスキルだけでなく、その個性やライフスタイルに共感するライダーたちをチームに迎えています。

  • タジ・ミヘリック(Taj Mihelich): 創設者であり、ブランドの顔。彼のライディングとアート、そして哲学がFairdaleそのものです。
  • ブロディ・ヘンダーソン(Brodie Henderson): BMXライダーとして知られ、Fairdaleのタフなバイクで様々な場所を走り回るスタイルが、ブランドの遊び心あるイメージを体現しています。
  • トム・シミン(Tom Shimmin): Fairdaleのスケートボードラックを愛用するスケーター。彼の存在は、FairdaleがBMXとスケートボードの垣根を越えたブランドであることを示しています。

6. まとめ:Fairdaleというライフスタイル

Fairdaleは、単に自転車を製造するブランドではありません。それは、「自転車に乗る喜び」というシンプルな感情を追求し、それをライフスタイルとして提案する、タジ・ミヘリックの哲学そのものです。

「非効率かもしれないけれど、それが楽しい。」

Fairdaleのバイクに乗ることは、スピードや記録を追い求めることとは対極にある、肩の力を抜いて自転車と向き合う「生き方」を選ぶことなのかもしれません。

もしあなたが、Fairdaleのバイクに乗っているなら、どんな楽しみ方をしていますか?ぜひコメントで教えてくださいね!

それでは、また次の記事でお会いしましょう!

ヒロヤスでした!

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Hrys Basics(ひろやす)
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Designer & Cr-Mo Freeks
中の人はCrust evasion乗り。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れる30第半ばのクリエイター。 海外の自転車ニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログを解説しました。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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