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【メーカー紹介】MASH:伝説を創り、ストリートを駆け抜けた魂

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。

僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。さて、今回は、僕たち自転車好きの心をこれほどまでに熱くさせてくれる、唯一無二の存在について語りたいと思います。

それは、サンフランシスコのメッセンジャーカルチャーから生まれた伝説のブランド、**MASH(マッシュ)**です。

MASHは、ただの自転車ブランドではありません。それは、ストリートアートと自転車が融合した、一つのムーブメントであり、ライフスタイルそのものです。MASHのフレームは、その過激で美しいデザインと、妥協のない性能で、ピストバイクというジャンルをストリートカルチャーの象徴へと押し上げました。

しかし、なぜこのブランドがこれほどまでに多くの人々を魅了し、熱狂的なファンを生み出したのか。今回は、MASHがどのようにして生まれ、そしてイタリアの老舗ブランド、CINELLIとどのような関係を築いてきたのか。そのヒストリー、哲学、そして代表的なプロダクトまで、他のどの記事よりも深く、熱く語り尽くしたいと思います。

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MASHの誕生:サンフランシスコという土地が生んだ必然

MASHの物語は、2000年代初頭のサンフランシスコに遡ります。当時のメッセンジャーたちは、車でごった返す街を最速で駆け抜けるため、シンプルな構造で頑丈なピストバイクを愛用していました。彼らにとって、自転車は仕事の道具であり、街を征服するための最高の武器でした。

そんな彼らが、自分たちのライディングを記録するために制作したのが、2007年に公開された映像作品**『MASH SF』**です。この作品は、サンフランシスコの急な坂道をハイスピードで駆け下り、車や人を縫うようにして走る、彼らのアグレッシブでスタイリッシュなライディングを世界中に知らしめました。

この作品は、単なる自転車の映像ではありませんでした。そこには、アート、音楽、ファッション、そして何よりも「自由」を求める若者たちの熱狂的なエネルギーが詰まっていました。MASHは、この作品を通じて、ピストバイクを単なる交通手段から、自己表現のツールへと昇華させ、世界中に新たなストリートカルチャーを創り出したのです。

CINELLIとの運命的な出会い:伝統とストリートの融合

MASHのムーヴメントは、イタリアの老舗自転車メーカー、CINELLI(チネリ)の目に留まります。

CINELLIは、1948年に創業した、輝かしい歴史と技術を持つブランドです。彼らが作る自転車は、機能性と美しさを両立させた、まさに「走る芸術品」でした。しかし、当時のチネリは、伝統的なロードバイクの世界に安住し、新たな顧客層を模索していました。

そんなチネリにとって、MASHはまさに「未来」でした。チネリの持つ確かな技術力と、MASHの持つストリートの熱狂的なエネルギーが融合すれば、これまでにない新しい価値が生まれる。そう確信したチネリは、MASHに声をかけます。

そして、2009年、CINELLIとMASHの初のコラボレーションフレームが誕生します。このフレームは、チネリの伝統的なトラックフレーム「Vigorelli」にMASHがデザインしたグラフィックを施したものでした。このフレームは、瞬く間に世界中のピストライダーたちの間で話題となり、入手困難な状態が続きました。

MASHのプロダクトに宿る哲学

CINELLI MASHのプロダクトは、そのすべてにMASHの哲学が色濃く反映されています。

遊び心を形にしたデザイン

MASHのフレームは、その過激で個性的なグラフィックが特徴です。ストリートアートやスケートカルチャーからインスピレーションを得た大胆なデザインは、単なる見た目のためではありません。それは、乗り手の個性を最大限に表現するための「キャンバス」でした。

妥協のない性能

見た目だけでなく、性能も妥協はありません。チネリが培ってきたアルミフレームの軽量化技術と、MASHのメンバーが実際に街を走ることで得たフィードバックが融合し、最高の剛性と反応性を実現しました。

日本とMASH

MASHが日本に上陸したのは、2000年代中盤のこと。東京のメッセンジャーカルチャーや、ピストバイクのブームと相まって、一気に人気が広がりました。

特に、ストリート系のピストバイクショップ、Blue Lugとの繋がりは深いものがあります。MASHのバイクにBlue Lugがセレクトしたパーツを組み合わせてカスタムするスタイルは、多くのピストライダーにとっての憧れでした。

彼らのプロダクトは、単なる自転車パーツではなく、「自分たちのカルチャーを自分たちで創る」という、熱いDIY精神を日本に持ち込んでくれたのです。

MASHの代表的なプロダクトたち

CINELLIとMASHのコラボレーションは終了しましたが、彼らが世に送り出した名作たちは、今も多くのライダーに愛され続けています。

CINELLI MASH HISTOGRAM(ヒストグラム)

MASHのフレームの中でも、最も象徴的なモデルです。攻撃的な前傾姿勢を生み出すジオメトリーと、見る角度によって表情を変える独特のグラフィックは、多くのライダーを魅了しました。

CINELLI MASH PARALLAX(パララックス)

ヒストグラムよりもさらにタイトで、レースに特化したジオメトリーを持つモデルです。その鋭いデザインは、まさにストリートを切り裂くような、MASHの哲学を具現化した存在でした。

CINELLI MASH WORK(ワーク)

MASHのフレームの中でも、特に異彩を放つのが、このワークです。その名の通り、メッセンジャーたちのタフな仕事に耐えうるように設計されたモデルでした。太いタイヤを履けるクリアランスや、キャリアを取り付けるためのダボ穴など、実用性を追求したタフな作りが魅力でした。

まとめ:そして、伝説は続く

CINELLI MASHは、単なるピストバイクブランドではありません。サンフランシスコのメッセンジャーたちが、自分たちのストリートを舞台に、自由とスタイルを追求した結果生まれた、一つのムーブメントです。

伝統と格式を重んじるイタリアの老舗、CINELLIが、この若者たちの熱狂的なエネルギーに共鳴し、手を組んだことで、自転車カルチャーに新しい風が吹き込みました。彼らが世に送り出したフレームは、見る角度によって表情を変える大胆なグラフィックと、妥協のない性能を両立させ、世界中のサイクリストに「自転車はもっと自由に楽しんでいいんだ」というメッセージを伝えてくれたのです。

MASHのフレームが教えてくれたのは、自転車が単なる移動手段や競技の道具ではないということ。それは、僕たちのライフスタイルや哲学を映し出す、もう一つのキャンバスです。スピードやスペックを追い求めるのではなく、自分の感性でモノを選び、自分だけの物語を紡ぐ楽しさ。そして、それを仲間たちと分かち合う喜び。

MASHのフレームは、その生産が終了した今でも、多くのライダーの心の中で、生きた伝説として輝き続けています。彼らが残してくれた、自由と遊び心という魂は、これからも僕たちの自転車ライフを豊かにしてくれるでしょう。

MASHが与えてくれたこの哲学は、もしかしたら、僕たちが自転車に乗る理由そのものを思い出させてくれたのかもしれません。

皆さんも、もしこの記事を読んで、MASHの世界に興味が湧いたら、ぜひその哲学に触れてみてください。それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!

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中の人はCrust evasion乗り。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れるアラフォーのクリエイター。 自転車のあれこれやニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログを解説しました。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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