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NITTO UIステムシリーズ徹底解説:現代クロモリに捧げる、最も美しい解答。

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。 僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。さて、今回は、僕たちクロモリバイクを愛する者が一度は頭を悩ませるパーツ、「アヘッドステム」についてのお話です。

機能的で高剛性なアヘッドシステム。その恩恵は計り知れませんが、多くのステムは太く、角張っていて、どこか無骨。スレンダーなパイプで構成されたクロモリフレームの繊細な美しさとは、少し相性が悪いと感じたことはありませんか?「この美しいフレームに、もっとスッキリとした、クラシックな雰囲気のステムを合わせたい…」。そんな切実な願いへの、NITTOからの最も美しい”解答”。それこそが、「UI(Ultimate Ideal)」の名を冠したステムシリーズなのです。今回は、複雑に見えるそのラインナップを完全に解き明かし、あなたの理想の一本を見つける旅にご案内します。

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世界が認める日本の至宝、NITTOとは

このUIステムの魅力に迫る前に、僕たちが愛するNITTOという会社について、少しだけ語らせてください。ステムやハンドル、シートポストといった自転車の根幹をなすパーツを選ぶとき、必ずその名が挙がる日本のブランド。それがNITTOです。

1923年に東京で創業し、一世紀近くにわたって金属チューブの加工と自転車部品の製造に情熱を注ぎ込んできました。NITTOの製品を手に取るとすぐにわかるのが、その圧倒的なまでの仕上げの美しさと、堅牢さ。それは、すべての製品を日本国内の自社工場で、熟練の職人たちが一つひとつ丁寧に作り上げているからに他なりません。

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特にその品質を証明しているのが、世界で最も厳しい基準の一つと言われる**NJS(競輪)**の認定です。コンマ数秒を争う競輪選手たちのパワーを、一切のロスなく推進力に変える。そんな極限の状況下で求められる精度と耐久性を、NITTOのパーツはクリアしています。

単にハイスペックなだけではない。長く使い込むほどに愛着が湧く、普遍的な機能美。それこそがNITTOの哲学であり、世界中のサイクリストから絶大な信頼を寄せられる理由なのです。

「Ultimate Ideal」- UIシリーズに込められた哲学

NITTOのUIシリーズは、単なるステムではありません。そこには「Ultimate Ideal(究極の理想)」という名にふさわしい、同社の哲学が凝縮されています。

現代のアヘッド規格に対応しながら、まるで往年のスレッドステムを彷彿とさせる、流麗でスレンダーなシルエット。アルミニウムを鍛造し、一本一本丁寧に磨き上げることで生まれる有機的で美しい曲線は、長年にわたり金属と向き合い続けてきたNITTOだからこそ到達できた、機能美の極致です。

パフォーマンスを犠牲にすることなく、自転車が本来持つべき佇まいの美しさを最大限に引き出す。UIシリーズは、そんな理想を追い求めるNITTOの情熱そのものなのです。

ステムの角度のイメージのしかた

UIシリーズの「82°」や「73°」または「±7°」といった角度の数字。これは、ステム選びの重要なポイントですが、少し分かりにくいですよね。この角度をどうイメージすれば良いか、解説します。

まず基準になるのが、あなたの自転車のヘッドチューブアングルです。これは、フレームのヘッドチューブが地面に対してどれくらい傾いているかを示す角度で、多くのクロモリバイクではおよそ73°前後に設定されています。

このヘッドチューブにステムを取り付けるわけですが、基準となるのは「ヘッドチューブから90°(直角)に出た状態」です。

  • 73°のステムを選ぶと… ヘッドチューブアングルが73°のフレームの場合、このステムを取り付けるとほぼ地面と水平になります。(計算上は90°-73°=17°となり、ステムの角度表記73°は-17°を意味するため)スレッドステムのような、クラシックで美しい水平のラインが生まれます。
  • 82°のステムを選ぶと… 同じフレームに82°のステムを取り付けると、**少し上向き(ライズ)**になります。(82°は-8°を意味するため)これにより、ハンドル位置が少し高くなり、よりリラックスした姿勢を取ることができます。

もちろん、これらのステムは上下を反転させて取り付けることも可能です。例えば82°のステムを反転させれば、下向き(ドロップ)になり、より前傾の強いポジションを作り出すこともできます。

あなたの理想の一本を見つける方法

UIシリーズのラインナップは多岐にわたりますが、心配はいりません。この下の表で、そのすべてを網羅しています。選ぶポイントは**「ハンドルの太さ」と「ステムの角度」**の2つだけ。この表を見ながら、あなたの自転車にぴったりの一本を探しましょう。

品番 (Model)ハンドルクランプ径ポストクランプ径 (コラム)角度 (Angle)突き出し (mm)
UI-21φ31.8mmφ28.6mm (1-1/8″)82°60~120
UI-22φ31.8mmφ28.6mm (1-1/8″)73°70~120
UI-26φ31.8mmφ28.6mm (1-1/8″)82°60~120
UI-27φ31.8mmφ28.6mm (1-1/8″)73°70~120
UI-75φ25.4mmφ28.6mm (1-1/8″)82°60~120
UI-76φ25.4mmφ28.6mm (1-1/8″)73°60~120
UI-81φ26.0mmφ28.6mm (1-1/8″)82°60~120
UI-82φ26.0mmφ28.6mm (1-1/8″)73°60~120
UI-85φ26.0mmφ28.6mm (1-1/8″
1inch シム付属)
82°60~120
UI-86φ26.0mmφ28.6mm (1-1/8″
1inch シム付属)
73°60~120

20番代は現在もっとも主流なφ31.8mmのハンドル用、70番台はφ25.4mm、80番台はφ26.0mmと、よく見るハンドルバークランプの規格に合わせたもの。
また、1桁目の連番大小は小さい方が73°、大きい方が82°というルールが見えてきます。

また、突き出しは各、10mm刻みでラインナップされているようです。UI-22とUI-27は70mmから、外はすべて60mmから120mmとかなり自由に長さも選ぶことができますね!

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、NITTOが誇るUIアヘッドステムシリーズの全貌に迫ってみました。

単に「細くてカッコいいステム」という言葉だけでは、このシリーズの魅力は語り尽くせません。そこには、現代の規格が持つ信頼性やパフォーマンスと、古き良き時代の自転車が持っていた繊細で優雅な佇まいを、どうすれば両立できるかという、NITTOの長年の経験と美学から導き出された「究極の理想(Ultimate Ideal)」が込められています。

ステムというパーツは、ともすれば地味な存在かもしれません。しかし、その一本が自転車全体の印象を決定づけ、ライダーとバイクとの対話を左右する、非常に重要な接点です。あなたの愛車がもし、その美しいクロモリのフレームに見合うステムを探しているのなら、このUIシリーズほど完璧な答えはないでしょう。

それは単なるパーツ交換ではなく、あなたの自転車が持つ本来の美しさを再発見し、これまで以上に愛着を深めるための、素晴らしい投資になるはずです。この記事と、あなた自身で完成させた完璧な早見表が、その最高の一本を見つけるための、信頼できる地図となることを心から願っています。

この記事が、あなたの自転車カスタムのヒントになれば嬉しいです。ぜひ、コメントであなたが選んだUIステムの話も聞かせてくださいね。

それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!

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中の人はCrust evasion乗り。最近古いMuddyFOXも仲間入りしました。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れるアラフォーのクリエイター。 自転車のあれこれやニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログにして行ってます。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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