MKS BM-7。BMX黎明期を彩った伝説のペダル、その歴史と遊び心を語る。

こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。
愛車のペダルに足を乗せ、ふと漕ぎ出す瞬間に、その存在の大きさを感じることがあります。自転車と僕たちを繋ぐ、たった一つの接点。今回は、そんな自転車の心臓部の一つであるペダルについて、僕が心から愛してやまない特別なモデル、**MKS BM-7(三ヶ島製作所 ビーエムセブン)**の魅力を皆さんと共有したいと思います。
このペダルがなぜ、今なお多くのサイクリストに愛され続けているのか。その背景には、日本の職人が世界に誇るものづくりの精神と、BMX黎明期の熱いストーリーが隠されています。単なるパーツの紹介だけでなく、そのデザインや哲学に込められた深い思いを、僕なりの視点で紐解いていきましょう。
MKS(三ヶ島製作所)の歴史:日本の職人が世界に誇るペダル
BM-7を語る上で、まず知っておきたいのが、メーカーである**三ヶ島製作所(MKS)**の歴史です。
MKSは、1949年に埼玉県所沢市で創業しました。創業者である荻野皓一郎氏は、ペダルの専門メーカーとして「最高の品質」を追求する揺るぎない信念を持っていました。その妥協のないものづくりは、創業から70年以上経った今も変わらず、製品は日本国内生産にこだわっています。
1970年代に入り、アメリカでBMXという新しいカルチャーが生まれ始めると、MKSはその黎明期からBMXペダルを供給し、シーンの発展に大きく貢献しました。そして、1980年代中頃、彼らがBMXの世界に送り出したのが、このBM-7です。
BM-7誕生の物語:BMXライダーたちの熱い声から生まれた傑作
MKS BM-7が特別な存在である理由は、その誕生の物語にあります。
当時のBMXは、ペダルの踏み面が狭く、滑りやすいものが主流でした。しかし、ライダーたちは、よりハードなライディングやトリックに対応できる、タフでグリップ力の高いペダルを求めていました。MKSはそうしたライダーたちの声に応え、BMXペダルの開発に着手しました。
試行錯誤の末に生まれたBM-7は、BMXの過酷な環境に耐えうる、アルミ製のサイドプレートと、ピン(スパイク)による高いグリップ力、そしてMKSの技術が凝縮されたスムーズな回転性能を兼ね備えていました。BM-7は、瞬く間に当時のBMXライダーたちの間で定番となり、その後のBMXペダルのスタンダードを築き上げた、まさに革命的な存在だったのです。
BM-7が特別な理由:そのデザインと機能性
BM-7は、当時のBMXシーンで求められていた機能をすべて詰め込んだ、まさに傑作でした。
1. タフで美しい「サイドプレート」
BM-7の最も象徴的なデザインが、ペダルの踏み面を囲むように配置されたアルミ製のプレートです。このプレートは、ペダリング時の足の滑りを防ぐだけでなく、ペダル全体を衝撃から守る役割も担っていました。
このプレートは、無骨でありながらも、どこか美しい佇まいを醸し出しています。このサイドプレートが、BM-7を単なる機能部品ではなく、一つの「アートピース」にしていると僕は思います。
2. 独自の「リフレクター」が持つ役割
BM-7には、ペダルのサイドにリフレクター(反射板)が取り付け可能です。夜間走行時の安全性を確保するためのものですが、これはMKSが自転車を単なる競技用機材としてではなく、**「日常の移動手段」**としても大切にしていたからだと僕は解釈しています。競技の場だけでなく、街の中でも安全に、そして安心して乗ってほしい。そんなMKSのライダーへの深い思いが、このリフレクターには込められているのです。
3. 日本の職人技が生み出す「回転の滑らかさ」
BM-7は、そのタフな見た目とは裏腹に、驚くほど回転が滑らかです。これは、手作業で調整されたカップ&コーンベアリングシステムによるものです。
手で回してみると、まるで無重力のように、いつまでも回り続けるんじゃないかと思うほどのスムーズさ。この回転の軽さは、ペダリングの軽さにも直結し、ライダーの疲労を軽減してくれます。これは、日本の職人技が世界に誇る、最高品質の証です。
BM-7と他のペダルとの比較
BM-7の魅力をより深く理解するために、他のフラットペダルと比較してみましょう。
- MKS SYLVAN TOURING:1978年に発売されたMKSのロングセラーモデルです。BM-7よりも踏面が広く、長距離ライドに適したペダルです。
- MKS SYLVAN GORDITO:SYLVAN TOURINGと踏面幅は同じですが、縦が長く、少し「ぽっちゃり」としたデザインが特徴です。こちらもツーリングや街乗りに向いており、足のサイズが大きい人にもおすすめです。
- Crankbrothers Stamp:MTBの世界で絶大な人気を誇るフラットペダルです。徹底的な薄型化と、足のサイズに合わせて選べる2サイズ展開が特徴です。高性能なベアリングを使用し、優れた耐久性を誇ります。
BM-7は、これらのペダルと比較しても、その独特なデザインと、タフな見た目からは想像できないスムーズな回転で、今もなお多くのライダーに愛され続けています。
まとめ:BM-7は、僕たちの遊び心に火をつける
いかがでしたでしょうか?
MKS BM-7は、ただの懐かしのペダルではありません。それは、日本の職人が世界に誇る最高の品質と、BMX黎明期の熱い魂、そして、**「自転車を心から楽しむ」**という、MKSの揺るぎない哲学が詰まった、生きた「道具」です。
僕もね、フラットバーの自転車を組む際、このBM-7を付けるか、あるいはVANSコラボのグリップを付けるか、なんていつも考えているんです。
その見た目のタフさと、機能性の高さを両立したBM-7は、あなたの自転車に、遊び心と信頼を宿してくれます。ぜひ一度、このペダルをあなたの愛車に取り付けて、その本質的な魅力を感じてみてください。
きっと、あなたの自転車ライフが、より豊かで、思い出深いものになるはずです。
もしあなたがBM-7を使っているなら、どんなカスタムをしていますか?ぜひ、あなたのBM-7への思いをコメントで教えてくださいね。
それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!