ブルックス・カンビウム:伝統と革新が織りなす新時代のサドル

こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。さて、今回は、多くの自転車乗りを魅了し続ける、あの老舗ブランドが放った革新的なサドルについてお伝えしたいと思います。
今回、僕がじっくりと掘り下げていきたいのは、イギリスのサドルメーカー「ブルックス(BROOKS ENGLAND)」が送り出した「カンビウム(Cambium)」サドルです。ブルックスと言えば、150年以上の歴史を誇る、あの「革サドル」を思い浮かべる人がほとんどでしょう。使い込むほどに馴染み、唯一無二の座り心地に育つ、まるで革靴のような哲学を持ったサドルです。僕もその美しさとストーリーには心惹かれます。
しかし、そのブルックスが、全く新しい素材で、その伝統的な哲学を現代に蘇らせたのが、このカンビウム・サドルなのです。革新的な素材と、脈々と受け継がれるデザイン。この二つがどのように融合し、素晴らしいプロダクトとして結実したのか。その背景や細部に至るまで、僕なりの視点で語らせてください。
カンビウムサドルに込められたブルックスの物語
ブルックスの歴史は、1866年、ジョン・ボルトビー・ブルックス氏が革製品の工房を設立したことに始まります。ある日、愛馬を失った彼が自転車での移動を試みたものの、当時の木製サドルの乗り心地に耐えかね、自ら革製のサドルを開発したのが、ブルックスのサドルづくりの出発点だと言われています。
そこから1世紀半以上、ブルックスは革サドルにこだわり続けてきました。しかし、革サドルは雨に弱く、また乗り手が慣らし、育てていく時間が必要です。その特性ゆえ、すべての自転車乗りに向けた製品とは言い難い側面もありました。
そして、カンビウムが生まれた背景には、僕が思うに、もう一つの時代の流れがあったんじゃないかと考えています。それは、環境や倫理観への配慮が世界的に強まる中で、素材の調達そのものにも、これまでとは違う視点が求められるようになったということ。イギリス国内での牛革の生育に関する取り決めが厳しくなったことも、そうした背景の一つにあるんじゃないかと、僕は想像しているんです。そうした時代の流れが、ブルックスが革サドルの哲学を継承しつつも、新たな素材での製品開発に挑戦する後押しになったのかもしれません。
カンビウム・サドルのサイズとモデルについて
カンビウムサドルは、その素材の哲学だけでなく、様々な乗り方や体格に合わせたモデルがラインナップされています。それぞれのモデルに込められた意味を紐解いてみましょう。
カンビウムを代表するプロダクト
- C17: カンビウムサドルの中で最もスタンダードなモデルです。ブルックスの代表的な革サドル「B17」と同じ幅(164mm)を持ち、幅広い層のサイクリストに快適性を提供します。ツーリングや街乗り、グラベルロードなど、多用途に使える万能モデルです。
- C15: 幅が少し狭く(140mm)、より前傾姿勢で乗るロードバイクやクロスバイクに適したモデルです。ペダリングの妨げになりにくく、スポーティなライドを楽しむ人におすすめです。
- C13: カンビウムシリーズ最軽量のモデルです。カーボンレールを採用し、幅は132mmと最も狭くなっています。重量を極限まで削ぎ落としつつ、カンビウム特有の快適性も失わない、レーシーなライドを志向するライダー向けのプロダクトです。
レール違いのモデルについて
カンビウムサドルは、スタンダードなスチールレールに加え、軽量化を追求したカーボンレールモデルも存在します。 スチールレールは、その耐久性とコストパフォーマンスのバランスが魅力です。一方、C13に採用されるカーボンレールは、極めて軽量でありながら、振動吸収性にも優れています。バイクの軽量化を考えている方には、見逃せない選択肢です。
穴あきモデル(Carved)について
モデル名の後ろに「Carved」と付くものは、中央部分に穴が開けられたタイプです。これは、サドルにかかる圧力を分散させ、デリケートな部分への負担を軽減するために設計されています。長時間のライドや、より快適性を求めるサイクリストにとって、非常に有効な選択肢となります。
「All Weather」モデルの違いについて
カンビウムサドルの多くには「All Weather」という名前がついています。これはその名の通り、天候に左右されない全天候型であることを示しています。表面のオーガニックコットンキャンバスにナイロンコーティングが施されており、雨や泥汚れに強くなっています。これに対して、過去に存在した初期のモデルにはコーティングがなく、使い込むことで味が出るようなモデルもありました。
不定期に登場する限定モデルについて
カンビウムサドルは、特定の素材やデザインを採用した限定モデルが不定期に発売されることがあります。僕も、以前発売されたデニム生地を使ったモデルが欲しくて、探した時期がありました。通常モデルとは一味違う、特別な表情を持った限定品は、所有する喜びをさらに高めてくれます。
ブルックスの革サドルとカンビウムサドル:受け継がれる哲学と決定的な違い
カンビウムサドルは、革サドルとは全く異なる素材でありながら、ブルックスのサドル哲学を色濃く受け継いでいます。 まず、その形状。カンビウムサドルは、クラシックな革サドルの有機的なフォルムをそのまま受け継いでいます。この美しい曲線は、長年にわたる研究と経験から生み出された、人体に寄り添うデザインなのです。
しかし、決定的な違いも存在します。 第一に、「慣らし」の必要がないことです。革サドルは、乗り手の骨格に合わせて革が変形するまで、ある程度の時間を要しますが、カンビウムは使い始めからその素材の特性により、路面からの衝撃を吸収し、快適な乗り心地を提供します。 第二に、「メンテナンス」がほぼ不要なことです。革サドルは雨天時の使用後に乾燥させたり、定期的にオイルを塗布したりする手間が必要ですが、カンビウムサドルは基本的に手入れを必要としません。これは、日々の通勤や、急な雨に降られる旅など、どんなシチュエーションでも気軽に自転車に乗れるという大きなメリットになります。
まとめ
カンビウムサドルは、ブルックスという老舗ブランドが、150年以上の歴史の中で培ってきた「自転車乗りが快適に過ごせるサドル」という哲学を、現代の技術と素材で再構築した、まさに革新的なプロダクトです。伝統的な革サドルの美しいデザインと快適性を持ちながら、メンテナンスフリーで天候にも左右されないという利便性を兼ね備えています。
僕自身、通勤用の自転車にカンビウムサドルを使っています。雨の日も風の日も、気にせず毎日乗れるというのは、忙しい日々を送る僕にとって本当にありがたいことなんです。特に、大阪の街中のデコボコ道でも、カンビウムのしなやかさがしっかりと衝撃を吸収してくれるので、快適に走ることができます。
カンビウムサドルは、ブルックスのブランドストーリーを理解し、その上で現代的な利便性を求めるすべての自転車乗りにおすすめしたいサドルです。
皆さんは、カンビウムサドルについて、どんな感想をお持ちですか?ぜひコメントで教えてくださいね!それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!