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シングルスピードMTBに惹かれる理由。シンプルに、そして深く。

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こんにちは、ヒロヤスです。大阪でデザイナーとして働いています。日々の通勤や休日のライドは、愛車のクロモリ自転車が相棒です。自転車の持つ普遍的な美しさと、乗り込むほどに愛着が増していくクロモリフレームに、すっかり心を奪われてしまいました。

今日の記事は、シングルスピードのマウンテンバイクについてです。変速機を持たない、究極にシンプルな構造。一見すると不便に思えるかもしれませんが、そのシンプルさこそが、僕たち自転車好きの心を揺さぶる魅力の根源だと感じています。今回は、そんなシングルスピードMTBの魅力について、僕なりの視点でお話ししたいと思います。

デザイナーが惹かれる、究極の「引き算の美学」

僕がシングルスピードMTBに惹かれる一番の理由は、その徹底された「引き算の美学」です。デザイナーという職業柄、ついついモノの本質や構造に目がいってしまうのですが、シングルスピードMTBのフレームは、余計なものが一切ない、非常に美しい佇まいをしています。

フレームから伸びるワイヤーは一本だけ。リアエンド周りには変速機がなく、ただチェーンとスプロケット、そしてホイールがそこにあります。この研ぎ澄まされたデザインは、まるで「これで十分だ」と語りかけているかのようです。

装飾を削ぎ落とし、機能性を追求した結果生まれたこの美しさは、現代のミニマリズムに通じるものがあるのではないでしょうか。複雑なシステムに頼らず、人本来の力で進むという自転車の本質を、これほどまでに雄弁に語るデザインは他にないでしょう。街でシングルスピードMTBを見かけると、ついつい足を止めて、その潔いフレームワークに見入ってしまいます。

クロモリとシングルスピードの最高の組み合わせ

僕が愛してやまないクロモリフレームとシングルスピードMTBの組み合わせは、まさに最高の相性だと感じています。クロモリフレームの持つ「しなやかさ」と、シングルスピードの持つ「ダイレクト感」。この二つが融合することで、まるで自分の脚がそのまま地面を蹴っているかのような、独特の一体感が生まれるのです。

特に、変速機を持たないシングルスピードは、クロモリフレームの特性をより際立たせてくれます。ギアチェンジの度にフレームにかかるトルクの変化がないため、クロモリ特有の「バネ感」や「乗り味」を、常に一定の感覚で味わうことができるのです。この感覚は、変速付きの自転車ではなかなか体験できません。

長年シングルスピードMTBに力を入れているブランドといえば、やはり Surly(サーリー) が有名です。かつての名車である Karate Monkey(カラテモンキー)Ogre(オーガ) などは、トラックエンドという特徴的なリアエンドを持ち、シングルスピード化を容易にしていました。現在でも、トラックエンドに近い構造を持つ車種は、シングルスピードMTBのファンに愛されています。また、近年では KONA(コナ) のような、現行でシングルスピードMTBをラインナップしているブランドも存在し、選択肢が増えているのは嬉しい限りです。

用途別のおすすめギア比:街からトレイルまで

シングルスピードMTBのギア比は、乗る場所や乗り手の体力によって最適なものが異なります。ここでは、用途別のおすすめのギア比をご紹介します。

街乗り・平地中心のライド

  • ギア比: 2.5〜3.0程度(例:フロント36T、リア12Tなど)
  • 特徴: 比較的高めのギア比です。僕の通勤ルートは平地がほとんどなので、このくらいのギア比が快適です。信号の多い街中でもスムーズな加速ができ、巡航速度も維持しやすいです。

里山・トレイルライド

  • ギア比: 2.0〜2.5程度(例:フロント32T、リア16Tなど)
  • 特徴: 平地から緩やかな上り坂まで、バランス良く対応できるギア比です。登り坂では少し頑張る必要がありますが、平坦なトレイルでは軽快な走りが楽しめます。このギア比で里山を走ると、自分の脚力が試されているような感覚があり、とても楽しいです。

登り坂が多いエリア・テクニカルなトレイル

  • ギア比: 2.0以下(例:フロント30T、リア18Tなど)
  • 特徴: 低めのギア比なので、急な登り坂やテクニカルなセクションでもペダリングを継続しやすいです。その分、平地での最高速度は出にくくなりますが、オフロードでの走破性を重視する方におすすめです。

※ギア比は、あくまで目安です。ご自身の脚力や好みに合わせて、色々な組み合わせを試してみるのが良いでしょう。試行錯誤しながら最適なギア比を見つけるのも、シングルスピードの楽しみの一つです。

どんな人におすすめ?

シングルスピードMTBはどのような人におすすめなのでしょうか?僕なりの考えをまとめてみました。

シンプルなものが好きな人

メカニカルな複雑さを避け、シンプルでダイレクトな乗り心地を求める人には、シングルスピードMTBは最高の選択肢となるでしょう。見た目の潔さだけでなく、乗り味にもそのシンプルさが表れています。

フィットネス目的で乗りたい人

一定の負荷でペダリングを続けるシングルスピードは、効率よく脚力や心肺機能を向上させたい人におすすめです。特に、通勤で毎日10km走る僕にとって、シングルスピードは良いトレーニングになっています。

バイクメンテナンスを簡単に済ませたい人

変速機がないため、ワイヤーやディレイラーの調整といった煩わしいメンテナンスから解放されます。日々のメンテナンスはチェーンへの注油程度で済むため、手軽に自転車を楽しみたい人にぴったりです。カスタマイズ好きの僕としては、シンプルだからこそ、他のパーツにこだわる楽しさも増します。

新しいライド体験を求めている人

これまで変速付きMTBに乗ってきた人がシングルスピードに挑戦することで、ペダリングスキルやライン取りなど、新たな発見や技術の向上を体験できるでしょう。僕も、シングルスピードに乗るようになってから、今まで以上に路面状況を意識するようになりました。

変速付きMTBにはない、シングルスピードならではのメリット

シングルスピードMTBには、変速付きMTBにはない独自のメリットがあります。

ダイレクトなペダリングフィール

ギアが1つしかないため、ペダリングの力がダイレクトに推進力に伝わります。このダイレクト感は、シングルスピードならではの魅力であり、一度体験すると病みつきになります。

集中力の向上

変速操作に気を取られることなく、路面状況や自分の身体の動きに集中することができます。これにより、より深くライディングを楽しむことができるでしょう。特に、トレイルでのライドでは、この集中力が重要になります。

トラブルの少なさ

変速機がないため、変速不良やディレイラーの破損といったメカニカルトラブルのリスクを大幅に減らすことができます。特に過酷な状況下でのライドや、工具を持ち歩きたくない街乗りでは、このシンプルさが大きなアドバンテージとなります。

軽量性

変速機関連のパーツがない分、車体重量を軽量に抑えることができます。ヒルクライムや担ぎ上げが多いセクションでは、そのメリットを実感できるでしょう。

静粛性

チェーンが常に同じ位置にあるため、走行中のチェーンノイズが少なく、静かでスムーズなライディングを楽しむことができます。これは、早朝のライドや、静かな住宅街を走る際にとても心地よい感覚です。

シングルスピードMTBとの出会い

僕がシングルスピードMTBに興味を持ったのは、ある日、近所のカフェの前で止まっていた一台の自転車がきっかけでした。マットブラックのクロモリフレームに、太めのタイヤ。変速機がなく、チェーンはまっすぐ伸びていました。その無駄のない姿に、デザイナーとして純粋に「美しい」と感じたのです。

それからというもの、僕の頭の中はシングルスピードMTBでいっぱいになりました。仕事の合間にネットで情報収集をしたり、自転車通勤の途中で見かけるシングルスピードMTBを、ついついじっくりと観察してしまったり。その結果、自分でも一台組んでみたいという衝動に駆られ、今まさに、理想の一台を構想している最中です。

どんなフレームにするか、どのくらいのギア比にするか、タイヤはどんなものを選ぶか。パーツ選びも、シンプルな構成だからこそ、一つ一つにこだわりたくなります。週末には、馴染みの自転車屋さんでコーヒーを飲みながら、店主とあれこれと相談するのが、最近の楽しみの一つです。

結論:シンプルという名の奥深さ

シングルスピードマウンテンバイクは、一見シンプルながらも奥深い魅力を持った自転車です。変速機がないという制約の中で、ライダーは自身の脚力とテクニックを駆使して自然と対峙します。その過程で得られる達成感や、自転車との一体感は、シングルスピードMTBならではのものです。

もしあなたが、新しいライド体験を求めているなら、ぜひ一度シングルスピードMTBの世界に足を踏み入れてみてください。きっと、これまでとは違う自転車の楽しさに出会えるはずです。そして、そのシンプルさの奥に隠された、豊かな世界が広がっていることに気づくでしょう。

僕も、これから始まるシングルスピードMTBとの新たな自転車ライフに、胸を躍らせています。完成したら、またこのブログで報告しますね。

それではまた、次の記事でお会いしましょう!ヒロヤスでした!

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Hrys Basics(ひろやす)
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Designer & Cr-Mo Freeks
中の人はCrust evasion乗り。クロモリ自転車とデザイン・作品制作に明け暮れる30第半ばのクリエイター。 海外の自転車ニュースやいろいろなフレーム・パーツがとても気になり、あれこれ見て調べてってやるならそれをまとめて見よう、ということでこのブログを解説しました。 飽き性が出ないよう根気よく続けていこうと思います。
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