GT:自転車の歴史を変えた、トリプルトライアングルという革命。zaskerやAVALANCHE、彼らが扱うクロモリとは?

こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。
僕のブログをいつも読んでくださっている皆さん、本当にありがとうございます。今回は、自転車好きなら一度は耳にしたことがあるであろう、アメリカのバイクブランド、GTについて深く掘り下げていきたいと思います。

サムネイルのロゴ、懐かしくないですか?僕はこのロゴが一番しっくりくるお年頃です。(アラフォー)
GTといえば、なんといってもその独特なルックスのフレーム、**「トリプルトライアングル」**が象徴的です。なぜ彼らはこのフレームを作り、それが自転車界にどのような革命をもたらしたのか。その秘密を、ブランドの歴史から紐解いていきましょう。
GTの誕生:ガレージから始まった挑戦
GTの物語は、1972年にカリフォルニア州オレンジ郡の小さなガレージから始まりました。
創業者である**ゲーリー・ターナー(Gary Turner)**は、自分の息子が乗るBMXバイクのフレームがすぐに壊れてしまうことに不満を感じていました。彼は航空宇宙産業で溶接工として働いており、その確かな技術と知識を使って、より頑丈で信頼性の高いBMXフレームを自作することを決意します。
こうして、ガレージで手作りされた最初のGTバイクが誕生しました。その頑丈さと乗りやすさは、すぐに地元のBMXコミュニティで評判となり、彼のイニシャル「G」と「T」を取って、ブランドGTが誕生しました。
自転車の歴史を変えた、トリプルトライアングル
GTの名を世界に知らしめた最大の功績は、MTBの世界に持ち込んだ革新的なフレームデザイン、**「トリプルトライアングル」**です。
これは、シートステイをトップチューブとシートチューブに溶接するのではなく、トップチューブを突き抜けてシートチューブに溶接するという、独自の構造を持っています。このユニークなデザインは、単なる見た目のためではありません。
その最大の目的は、リアトライアングルの剛性向上です。シートステイを短くすることで、フレーム全体が一体となり、ペダリングの力をロスなく後輪に伝えます。さらに、地面からの振動を効果的に吸収し、ライダーへの疲労を軽減する効果も生み出しました。
この構造は、MTBだけでなく、クロスバイクやグラベルバイクといった幅広いモデルに採用され、GTのアイデンティティとして定着しました。それは、ただ奇抜なデザインではなく、パフォーマンスを追求した結果生まれた、機能美だったのです。
TIPS:トリプルトライアングルと、日本のデザイナーの噂
GTのトリプルトライアングルフレームについて、「実は日本のデザイナーが関わっている」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。この話は、サイクリングコミュニティで時折ささやかれる、興味深い噂です。
結論から言うと、トリプルトライアングルを考案した主要な設計者に、日本人が関わっているという公式な記録や情報は見つかっていません。 GTの公式ヒストリーや創業者の文献では、一貫してゲーリー・ターナー自身がフレームデザインの中心的役割を担ったとされています。
では、なぜこのような話が生まれたのでしょうか?
考えられる理由の一つに、精密な溶接技術の混同が挙げられます。トリプルトライアングルは、シートステイをトップチューブまで伸ばすという独特の溶接技術によって実現されており、この高い溶接技術は、当時から世界的に評価されていた日本の自転車工房の得意分野でした。そのため、「このユニークな技術の背景には、日本の職人が関わっているのでは?」という推測が生まれたのかもしれません。
この噂は、真偽はともかく、GTというブランドが持つ独自性と、その革新的なデザインが多くの人々に深い関心と想像を掻き立てることを物語っています。

この件、知ってる方いたらコメントやメッセージで教えて下さい!調べても正確な記述、ほんとにでてこなかったんですよね。。。
GTとクロモリフレーム:知られざる歴史
GTといえば、アルミフレームのイメージが強いですが、実はブランドの黎明期から、クロモリ(クロムモリブデン鋼)フレームにも力を入れてきました。BMXの黎明期から、クロモリは頑丈さと軽さを両立できる素材として、GTのバイクに欠かせない存在だったのです。
MTBの黄金期である1990年代には、アルミ製フレームが主流となる中でも、GTはクロモリの魅力を最大限に引き出したモデルを多数輩出しました。
素材がもたらす乗り味
クロモリフレームの最大の魅力は、その**「しなり」**です。適度な柔軟性を持つクロモリは、路面からの細かな振動を効果的に吸収し、ライダーの疲労を軽減します。これは、長距離のツーリングや、ガレ場のようなテクニカルなトレイルを走る際に、ライダーに大きなアドバンテージを与えてくれます。アルミの「カッチリ」とした乗り味に対し、クロモリの「しなやか」な乗り味は、多くの熱心なサイクリストを虜にしました。
伝説のクロモリMTBたち
- Zaskar:アルミモデルが有名ですが、実は初期にはクロモリ製のモデルも存在しました。その頑丈さと、クロモリならではのしなやかな乗り味は、クロスカントリーレースで高い評価を得ました。
- Avalanche:GTのMTBにおけるベストセラーモデル。初期のモデルにはクロモリフレームが採用されており、タフなトレイルライドから街乗りまで、幅広いシーンで活躍しました。
- Tequesta:ZaskarやAvalancheと並び、GTのクロモリMTBを象徴するモデル。特に、ツーリングやバイクパッキングなど、荷物を積んで長距離を走るライダーから根強い人気を誇りました。
クロモリフレームのGTバイクは、単なる最新技術の追求だけでなく、自転車が持つ本来の「道具」としての魅力を再認識させてくれる存在です。

フリマサイトやオークションでは未だに根強くクロモリ時代のGTフレームが出てきますね!実家の車庫に眠ってたりしたらマジでラッキー!ぜひレストアして乗ってみましょう!
GTの哲学:タフネスと革新
GTのブランド哲学は、創業者がBMXに込めた想い、つまり**「タフで壊れない自転車」**という信念に深く根ざしています。
BMXレースの過酷な環境に耐えうる頑丈さをMTBにも継承し、ライダーが安心して限界に挑戦できるバイクを創り続けています。また、常に新しい技術やデザインに挑戦する姿勢もGTの特徴です。カーボン素材の開発やサスペンションシステムの研究など、彼らは常にサイクリング界の最先端を走り続けています。
GTの代表的なプロダクト
ここでは、GTの哲学を象徴する、代表的なモデルをカテゴリー別に紹介します。
BMX
GTのルーツであるBMXは、ストリート、パーク、ダートなど、あらゆるジャンルで最高のパフォーマンスを発揮します。
- Performer: GT BMXの定番であり、エントリーモデル。ゲーリー・ターナーの精神を受け継ぎ、BMXの楽しさを純粋に追求したモデルです。タフで乗りやすい設計は、初めてBMXに挑戦するライダーに最適です。
- Pro Performer: プロレベルのライディングにも耐えうるハイエンドモデル。軽量かつ高剛性なクロモリフレームと、最新のパーツを装備し、プロライダーの要求に応えます。
マウンテンバイク(MTB)
GTがMTB界に革命を起こした代表的なジャンルです。
- Zaskar: GTのMTBを代表するハードテールモデル。1990年代には世界中のXC(クロスカントリー)レースで表彰台を席巻し、その名を轟かせました。今もなお、クロスカントリーからトレイルライドまで幅広くこなせる万能なハードテールとして、多くのMTBライダーに愛される名車です。
- Avalanche: GTのMTBにおけるベストセラーモデル。トリプルトライアングルフレームの恩恵を最も身近に感じられるエントリーモデルです。優れた走破性と耐久性で、街乗りから本格的なトレイルライドまで、MTBの楽しさを気軽に体験できるGTの入門バイクとして人気です。
グラベルバイク
GTのグラベルロードは、トリプルトライアングルフレームが持つ優れた振動吸収性と安定性を最大限に活かしたモデルです。
- Grade: GTのグラベルロードモデル。もちろん、ここにもトリプルトライアングルフレームが採用されています。未舗装路でも快適な乗り心地と、確かな走破性で、冒険心を掻き立てます。キャリアダボも豊富で、バイクパッキングやツーリングにも最適な一台です。
GTは「冒険」のパートナー、その独特な乗り味は唯一無二
GTのバイクは、単なる移動手段ではありません。それは、ライダーの**「冒険」**を支える信頼できるパートナーです。
GTの最大の魅力は、その独特な乗り味にあります。トリプルトライアングルフレームがもたらす、ペダリング時の確かな剛性と、路面からの衝撃をいなすしなやかさ。それは、まるでフレームが生きているかのように、ライダーの意図を正確に路面に伝え、同時に身体への負担を軽減してくれます。
僕も初めてGTに乗った時、その感覚に驚きました。アルミフレームのバイクにありがちな「硬さ」や、クロモリフレームの「柔らかすぎる」感覚とは違う、絶妙なバランス。それは、創業者のゲーリー・ターナーがBMXで培った「タフで壊れない自転車」という哲学と、革新的な技術が融合した結果生まれた、GTにしかない唯一無二の乗り味です。
MTBで険しい山道を攻める時、BMXでトリックを決める時、そしてグラベルロードでまだ見ぬ道を探しに行く時。GTは、そのタフネスと革新的な技術で、ライダーの挑戦を力強くサポートします。
あなたも、もし新しい冒険を求めているなら、GTのバイクを一度試してみてはいかがでしょうか。その独特なフレームが、きっとあなたを新しい世界へと導いてくれるはずです。
それでは、また次の記事で会いましょう!ヒロヤスでした!