Surly Ghost Grappler(グラップラー)。野性を解き放つ異色のダートツーリングフレーム。

こんにちは、ヒロヤスです。大阪の街を今日も自転車で駆け抜けているアラフォー、デザイナーの僕です。
僕のブログではこれまで、Surlyの様々なフレームを紹介してきましたが、今日、僕が熱い情熱を注ぎ、徹底的に掘り下げたいのは、荒野を駆ける狼のような一台、**Surly Ghost Grappler(サーリー・ゴーストグラップラー)**です。
このフレームは、登場当初「ゴーストグラップラー」という魅力的な名前で発表されましたが、商標の問題により、後に「グラップラー」へとその名を変更しました。この名称変更の背景にも、Surlyらしいストーリーが隠されています。今回は、その経緯にも触れつつ、このユニークなフレームが持つデザイン、ヒストリー、そして僕たちの冒険心を掻き立てる魅力のすべてを、他のどのブログ記事よりも深く、熱く語り尽くしたいと思います。
1. 荒野への誘い。Ghost Grappler(グラップラー)誕生の物語
Grappler、もといGhost Grapplerとして最初にその姿を現したのは、2020年のことでした。当時の自転車業界は、グラベルロードという新しいカテゴリーが隆盛を極め、多くのメーカーが競って多用途なバイクをリリースしていました。そんな中、Surlyが打ち出したGhost Grapplerは、既存のグラベルロードとは一線を画す、独自のコンセプトを持ったフレームとして注目を集めました。
1-1. 「トレイルにも分け入るグラベル」という新機軸
SurlyがGhost Grapplerに込めた最大の想い、それは「舗装路だけでなく、シングルトラックのようなトレイルも臆することなく走り抜けられるグラベルバイク」を創り出すことだったと僕は考えています。従来のグラベルロードが、あくまで舗装路をベースとした走行性能に重きを置いていたのに対し、Ghost Grapplerは、よりアグレッシブなオフロード走行性能を追求していました。
その証拠に、フレーム設計には、Surlyが得意とするMTBのノウハウが惜しみなく投入されています。長いリーチ、寝かせられたヘッドアングル、そしてMTBのようなワイドなタイヤクリアランス。これらの要素が、Ghost Grapplerを単なる「グラベルロード」という枠には収まらない、独自のカテゴリーへと押し上げたのです。
1-2. 「ゴーストグラップラー」から「グラップラー」へ:名称変更の裏側
発表当初、「Ghost Grappler」という、どこか神秘的でワイルドな響きの名前で登場したこのフレーム。多くの自転車ファンも、その魅力的なネーミングに惹かれたはずです。しかし、残念ながら、別の企業が「Ghost Grappler」という商標をすでに登録していたため、Surlyはやむを得ず名称を変更することになりました。
新たに与えられた名前は「Grappler(掴みかかる者、格闘家)」。この名前にも、Surlyのフレームに対する熱い想いが込められています。舗装路、グラベル、トレイル、どんな路面にも臆することなく掴みかかり、乗りこなす。そんなアクティブなライディングスタイルを想起させる、力強いネーミングだと僕は感じています。名称は変われど、このフレームが持つ本質的な魅力は、決して色褪せることはありません。
1-3. デザインに込められた思い:冒険心を掻き立てるディテール
Ghost Grappler(以下、グラップラー)のフレームデザインには、Surlyが長年培ってきた「タフさ」「シンプルさ」「汎用性」という哲学が凝縮されています。4130クロモリ鋼を使用したフレームは、Surlyらしい質実剛健なルックスを醸し出し、日々のハードな使用にもしっかりと耐えてくれます。
特徴的なのは、トップチューブとダウンチューブに設けられた多数のボトルケージ台座や、キャリア、フェンダー用のダボ穴です。これにより、グラップラーは、日帰りツーリングから本格的なバイクパッキングまで、あらゆるアドベンチャーライドに対応できるポテンシャルを秘めています。また、MTBのようなワイドなタイヤクリアランスは、悪路走破性を高めるだけでなく、グラップラーに独特の力強いシルエットを与えています。
2. Ghost Grappler(グラップラー)のジオメトリとスペックを徹底解剖
それでは、グラップラーがどのような設計思想に基づいて作られたのか、公式サイトから抜粋したジオメトリ表とスペックリストを詳細に見ていきましょう。
2-1. ジオメトリの特徴とライドへの影響
グラップラーのジオメトリを見て、僕が特に注目したのは以下の点です。
- 寝かせられたヘッドチューブアングル(69°): これは、一般的なグラベルロードと比較してかなり寝かせられた数値です。この角度により、高速走行時や、荒れた路面での安定性が大幅に向上します。特に、フロントに荷物を積んだ状態や、下り坂でのコントロール性が高まるため、アドベンチャーライドには最適な設計と言えるでしょう。
- 長いリーチ: 近年のMTBトレンドを取り入れた長いリーチは、よりアグレッシブなライディングポジションを可能にし、オフロードでのバイクコントロール性を高めます。ドロップハンドルでありながら、MTBのような安定感と操作性を両立させているのがグラップラーの大きな特徴です。
- 短いBBドロップ(58mm): BBドロップが比較的短いことで、重心が上がり、ペダリング時のクリアランスが確保されます。これは、テクニカルなオフロードセクションでの走破性を高める上で重要な要素となります。
- 短めのチェーンステー(430mm): 長いリーチに対して、チェーンステーは比較的短めに設計されています。これにより、バイクの反応性が向上し、コーナーでの取り回しの良さに貢献します。安定感と操作性のバランスを考慮した設計と言えるでしょう。
2-2. スペックリストの読み解きとビルドへの影響
- ヘッドチューブ: 44mm スタンダード 汎用性の高い規格であり、様々なヘッドセットが選択可能です。テーパードフォークへのアップグレードも容易です。
- シートポスト径: 30.9mm MTBで一般的なサイズであり、耐久性の高いシートポストや、ドロッパーシートポストの選択肢も豊富です。オフロード走行性能を高めたい場合に、ドロッパーシートポストの導入は非常に有効な選択肢となります。
- フロントエンド幅: 15x110mm スルーアクスル / リアエンド幅: 12x148mm スルーアクスル(Boost規格) 最新のMTB規格であるスルーアクスルとBoost規格を採用しています。これにより、ホイールとフレームの一体感が高まり、剛性と安定性が向上します。また、ワイドなハブフランジにより、ホイールの強度も高まります。
- ブレーキ: フラットマウント ディスクブレーキ 最新のフラットマウント規格のディスクブレーキを採用しており、天候に左右されない安定した制動力を得ることができます。オフロード走行においては、ディスクブレーキの信頼性は非常に重要です。
- 素材: Surly proprietary ‘Natch’ tubing, 4130 Chromoly steel, double-butted main triangle Surly独自の「Natch」チュービングを使用した4130クロモリ鋼製フレームは、Surlyならではの頑丈さと、クロモリ特有のしなやかな乗り心地を提供します。ダブルバテッド加工により、強度を保ちつつ軽量化も図られています。
- ホイールサイズ: 27.5″ (最大 2.8″ タイヤ) および 29″ (最大 2.5″ タイヤ) 対応 27.5インチと29インチの両方のホイールサイズに対応している点は、グラップラーの大きな特徴の一つです。27.5インチの太いタイヤを選べば、より高いクッション性とグリップ力を得られ、テクニカルなトレイルでの走破性が向上します。一方、29インチの細めのタイヤを選べば、舗装路での巡航性能や、障害物を乗り越える際の有利性が高まります。
- ダボ穴: フォークサイド、フレーム(キャリア、フェンダー、アクセサリー用)多数装備 フレーム全体に多数のダボ穴が用意されており、キャリア、フェンダー、ボトルケージ、バイクパッキング用のアクセサリーなどを自由に取り付けることができます。グラップラーの高い汎用性を象徴するスペックと言えるでしょう。
3. Ghost Grappler(グラップラー)と最高の相性を持つパーツたち
グラップラーの持つポテンシャルを最大限に引き出すために、相性の良いパーツをいくつかご紹介します。
3-1. ホイール:タフでワイドなリムを選ぶ
オフロード走行を考慮するなら、耐久性が高く、ワイドなリムを選ぶのがおすすめです。チューブレスレディ対応のリムを選べば、低圧での走行が可能になり、グリップ力と乗り心地が向上します。
3-2. タイヤ:走る路面に合わせてチョイス
グラップラーは、幅広いタイヤに対応しています。
- グラベルライド中心なら: 40c〜45c程度のグラベルタイヤで、舗装路での転がり抵抗とオフロードでのグリップ力のバランスを取るのがおすすめです。
- トレイルライドも楽しみたいなら: 2.2″〜2.5″程度のMTBタイヤで、高いグリップ力とクッション性を確保しましょう。
3-3. コンポーネント:SRAM ApexやShimano GRXが最適
グラップラーのアグレッシブな性格を考えると、SRAMのApexやShimanoのGRXなど、オフロードでの使用を考慮したコンポーネントがおすすめです。ワイドなギアレンジや、安定したブレーキ性能が、冒険ライドをしっかりとサポートしてくれます。
3-4. ハンドルバー:ワイドなフレアハンドルで安定感を
オフロードでのコントロール性を高めるためには、ワイドなフレアハンドルがおすすめです。様々なグリップポジションを取ることができ、長距離ライドでの疲労軽減にも繋がります。
3-5. ドロッパーシートポスト:トレイルライドの楽しさを倍増
トレイルライドを積極的に楽しみたいなら、ドロッパーシートポストの導入は必須と言えるでしょう。 седло の高さを瞬時に調整できるため、下り坂での安定性が向上し、よりアグレッシブなライディングが可能になります。
3-6. ブレーキ:油圧ディスクブレーキで確実な制動力を
オフロードでの使用を考えると、油圧ディスクブレーキの確実な制動力は非常に重要です。軽い力でしっかりと減速できるため、長時間のライドでも疲労を軽減できます。
4. ヒロヤス的おすすめGhost Grappler(グラップラー)ビルド
僕が考える、グラップラーの魅力を最大限に引き出すおすすめのビルドをご紹介しましょう。テーマは「あらゆる道を制覇する、タフなアドベンチャーバイク」です。
- フレーム:Surly Ghost Grappler
- ホイール:WTB ST i30 TCS 2.0
- タイヤ:Maxxis Minion DHF 27.5″ x 2.5″ (フロント) / Maxxis Aggressor 27.5″ x 2.3″ (リア)
- コンポーネント:SRAM Apex 1 (1x11s)
- クランクセット:SRAM Apex 1 X-SYNC 40T
- ブレーキ:SRAM Apex 1 油圧ディスクブレーキ
- ハンドルバー:Salsa Woodchipper Deluxe
- ステム:Thomson Elite X4 Stem 70mm
- シートポスト:PNW Components Rainier Gen3 Dropper 150mm
- サドル:Ergon SM Enduro Comp
- ペダル:Crankbrothers Eggbeater 3
このビルドは、テクニカルなトレイルライドも視野に入れた、アグレッシブな仕様です。27.5インチの太いタイヤと、MTB向けのMaxxisタイヤの組み合わせで、圧倒的なグリップ力を確保。SRAM Apex 1のシンプルな1×11速コンポーネントは、悪路でも確実な変速性能を発揮します。ドロッパーシートポストとワイドなフレアハンドルにより、オフロードでのコントロール性も抜群です。
Surlyの自転車は、独自のスタイルと哲学を持つショップで取り扱われていることが多いです。ここでは、日本全国の代表的なSurly取扱店をいくつかご紹介します。
- 店舗名: Blue Lug (ブルーラグ)
- 地域: 東京都
- 自転車を愛する人々が集まる、東京を代表するカスタムバイクショップ。Surlyをはじめとする個性的なブランドを多数扱い、独自のセンスで組み上げられた自転車は多くのファンを魅了しています。パーツの品揃えも豊富で、気軽に相談できる雰囲気も魅力です。
- 公式ホームページ: https://bluelug.com/
- 店舗名: Circles (サークルズ)
- 地域: 愛知県
- 名古屋を拠点に、自転車文化の発信地として知られるショップ。Surlyの魅力を深く理解し、ライフスタイルに合わせた提案をしてくれます。併設されたカフェ「Earlybirds Breakfast」も人気で、自転車好きのコミュニティスペースとしても機能しています。
- 公式ホームページ: https://www.circles-jp.com/
- 店舗名: Movement (ムーブメント)
- 地域: 大阪府
- 大阪市内に店舗を構える、カスタムバイクのプロショップ。Surlyの魅力を深く理解しており、ユーザーのスタイルや用途に合わせたオリジナルの1台を丁寧に組み上げてくれます。街乗りから本格的なツーリングまで、Surlyの多様な楽しみ方を提案してくれるでしょう。
- 公式ホームページ: https://www.movement.jp/
- 店舗名: grumpy (グランピー)
- 地域: 広島県
- 広島県で長年Surlyを取り扱っている老舗ショップ。独自のイベントやライド企画も盛んで、Surlyを通じて広がる自転車の楽しみ方を提案しています。バイクパッキングやグラベルライドなど、Surlyの魅力を最大限に引き出すカスタムを得意としています。
- 公式ホームページ: https://ride.grumpy.jp/
- 店舗名: BICYCLE SHOP FREEDOM
- 地域: 愛媛県
- 愛媛県にあるスポーツバイクショップ。Surlyの魅力を深く理解しており、グラベルロードやツーリングバイクなど、幅広いモデルの提案を得意としています。カスタムの相談にも親身に乗ってくれるので、安心して任せられます。
- 公式ホームページ: https://www.freedom089.com/
- 店舗名: 正屋 (MASAYA)
- 地域: 福岡県
- 福岡市にあるスポーツバイク専門店で、Surlyの取り扱いも豊富。ロードバイクやマウンテンバイクはもちろん、ツーリングや通勤に使えるSurlyの楽しみ方を提案してくれます。親しみやすい雰囲気も特徴です。
- 公式ホームページ: https://www.masaya.com/
- 店舗名: chillnowa (チルノワ)
- 地域: 北海道
- 函館市を拠点とする自転車ショップ。雪国ならではのファットバイク文化を牽引しつつ、様々なSurlyのバイクを扱っています。個性的なカスタムを得意とし、Surlyを遊び倒すスタイルを提案してくれるでしょう。
- 公式ホームページ: http://www.chillnowa.com/
- 店舗名: TairaCycle (タイラサイクル)
- 地域: 沖縄県
- 沖縄県北谷町にある自転車ショップ。Surlyの正規取扱店として、レースから街乗りまで幅広いニーズに対応しています。沖縄の美しい景色をSurlyで楽しむための提案をしてくれるでしょう。
- 公式ホームページ: https://www.tairacycle.com/
記事を読んでSurlyの自転車が気になったら、是非近くのお店に足を運んで実物を見たり、試乗車があれば体験させてもらうのもいいですね!
※上記は代表的な店舗の一部です。最新の取扱状況や在庫については、各店舗のホームページやSNSをご確認いただくか、直接お問い合わせください。
5. まとめ:Ghost Grappler(グラップラー)と共に、未知なる道へ
Surly Ghost Grappler(グラップラー)は、既存のグラベルロードの枠を超え、「どこへでも行ける」というSurlyの精神を体現した、真のアドベンチャーバイクです。そのタフなクロモリフレーム、アグレッシブなジオメトリ、そして豊富な積載能力は、あなたの冒険心を掻き立て、未知なる道へと誘ってくれるでしょう。
名称は変わりましたが、このフレームが持つワイルドな魂は決して変わりません。さあ、Ghost Grappler(グラップラー)と共に、日常を飛び出し、まだ見ぬ景色を探しに行きましょう!
もしあなたが、Ghost Grappler(グラップラー)での冒険の経験があるなら、ぜひコメントで教えてほしい。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
ヒロヤスでした!